岩波現代文庫<br> 戦争は女の顔をしていない

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岩波現代文庫
戦争は女の顔をしていない

  • ISBN:9784006032951

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内容説明

ソ連では第二次世界大戦で100万人をこえる女性が従軍し,看護婦や軍医としてのみならず兵士として武器を手にして戦った.しかし戦後は世間から白い目で見られ,みずからの戦争体験をひた隠しにしなければならなかった――.500人以上の従軍女性から聞き取りをおこない戦争の真実を明らかにした,ノーベル文学賞作家の主著.(解説=澤地久枝)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

rico

282
カバー写真の女性たちは若く美しい。こんな女の子たちが・・・。史上最も悲惨と言われる独ソ戦に従軍した数百万のロシア女性たちは、看護など後方業務だけではなく、銃をとり戦闘機に乗り最前線で戦った。兵士であったことの心の傷は男も女ないが、女性ゆえ戦後社会で厳しい視線にさらされ沈黙するしかなかった彼女たちが、ようやく語った言葉。志願に至る高揚、誇り、恐怖、憎悪、哀しみ、絶望、そして祖国の勝利の後の苦悩。1人の証言は長くても10ページほど。翻訳も読みやすい。何も付け加える必要はない。ただただ、多くの人に読んでほしい。2020/11/17

読特

251
独ソ戦でのソ連は侵略された側。守りたい。町を、家族を、この国を!男も女も思いは同じ、守るためには女も戦う…500人を超える従軍女性からの聞き取りに感じること。その気持ちになりきることなどできない。時代も、国も、性別も違う。只々、その衝撃を受け止める。我が子をおいて、戦線に繰り出し、男物の下着をつけ、あの周期も止まる。勝利の後も、女に戻れず、偏見持たれ、忍んで暮らす。その犠牲は報われたのか?…鉄のカーテン、ソ連崩壊、元々同国の間での紛争。その後の時代がくれた答え。大きな歴史の渦の中で、個々の人生は儚い。2023/03/08

南北

246
「100分で名著」で取り上げられていたので読んでみた。第2次大戦の独ソ戦(旧ソ連諸国での大祖国戦争)で10代後半から30歳位の女性たちが外科医や看護師だけでなく高射砲兵や機関銃兵等として参戦し、心身ともに深い傷を負っただけでなく、戦後は戦地経験のない女性たちから言われなき侮辱を受けていたことが淡々と語られていて、圧倒される。女性らしい感性で切り取られた戦争は男たちが語ってきたものとは違う側面が見られて感慨深い。後半に入ってようやくスターリン批判が垣間見えてくるが、何かやりきれない思いがあふれてくる。2021/10/11

ゆきねこ

224
戦争に行って実際に戦ったロシア人女性の証言集。戦争中も勝利したはずの戦後も幾重にも傷つき、社会の底辺で踏みにじられる女性たち。結婚、出産、育児にも暗い影を落とす。命がけで戦ってきたのに、勲章をもらったはずなのに、女性だからというだけで蔑まれる。戦争を始めるのも、相手を殺すのも、手柄を取るのも男たち。二度と戦争を起こしてはならない。戦争をする、しないの決定の場に女性がいなくてはならない。戦後78年になる今年、新たな戦前にならないように。多くの人に、未来の人に、この本を読んでもらいたい。2023/03/21

荒野の狼

159
ソ連・ロシアのノーベル賞作家で、第二次世界大戦前後を生きた作家であるショーロホフ、ブーニン、ソルジェニーツィン 、パステルナークによる一連の作品を読んだが、この時代を別の側面から描いた作品に興味があったので本作を購入。著者はベラルーシ出身であるが、本の内容はベラルーシがソ連に所属していた時代であり、当時のソ連の書かれることのなかった一面が記載されており貴重。2021/09/14

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