内容説明
アメリカでやさしい母と二人で暮らしていたセドリックは,突然,イギリスの貴族である父方の祖父の跡をつぐことになった.年取った祖父は偏屈でみんなから嫌われていたが,セドリックの無邪気であたたかい愛情にふれるうちに,その冷たい心がしだいに変わっていく.生き生きとした新訳でよみがえる,バーネットの不朽の名作.
目次
目 次
物語のまえに
第1章 思いがけない出来事
第2章 セドリックの友人たち
第3章 ふるさとを離れて
第4章 イギリスに着いて
第5章 ドリンコート城
第6章 伯 爵 と 孫
第7章 教 会 で
第8章 ポニーに乗って
第9章 みすぼらしい家々
第10章 とんでもない知らせ
第11章 アメリカでの心配
第12章 競 争 相 手
第13章 ディックの大活躍
第14章 発 覚
第15章 八つの誕生日
訳者あとがき
注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェルナーの日記
297
”天は二物を与えず”と申しますが、小公子フォントルロイ(セドリック)は、まるで天使のような男の子(直喩・シミター)というよりも天使そのものだ(隠喩・メタファー)。この物語はシミターな物語ではなく、メタファーな物語だと思う。では何のメタファーだろうか?それはたぶん幸福や喜び・笑いは伝染するというまたファーなのだろう。もちろん逆もありうる。セドリックに出会う前のドリンコート伯爵である。小公子フォントルロイの周りの人々は曇りのから次第に晴れわたり、暖かな太陽に照らせれる。まるでアランの『幸福論』の世界に通ずる。2019/02/03
はるき
31
大昔にアニメで見た印象が強い。文章にすると信じ難いくらい何もかも揃った天使みたいな男の子が主人公。清らかすぎて共感する余地があまり無い…。読者は彼よりも周囲の大人の方に感情移入するんじゃないかな。2019/07/15
さゆ
30
子どもの頃に読んだのは誰の訳だったんだろう。その時は、なんか天使みたいな子だなと、天の邪鬼な私はセドリックにあんまりいい印象をもてなかった。脇さんの訳のこの本は、セドリックが全然天使みたいじゃなく描かれていて、むしろ、愛情一杯に育てられた素直な子どもらしい子、という感じだった。セドリックの母が人格者だと思うけれど、おじいさんが、なんていっても可愛い。やっぱり脇さんの訳は素晴らしいと思った。2012/02/18
ちゃちゃ
21
久しぶりにきらきらのセドリックに会えて嬉しかったです。人の善意を疑わない真っ直ぐさ。癒やされます。いやあ,大人としてこれは真っ直ぐに生きなくてはいかんということやね。初読の時にはセドリック目線だったけれど,どっちかというと気分は伯爵様・・・の今日この頃。(年はまだそこまでいってない!)2016/01/17
かもめ通信
20
#岩波少年文庫 #創刊70周年 ネット読書会に参加すべく,読んでみた。この話,子どもの頃はすごく苦手だったけれど,今回約40年ぶりに読んでみたらいろいろな意味でなかなか面白かった。2020/08/11