内容説明
西アフリカで発生したエボラ出血熱は過去に例を見ない大流行となった.エボラはどこから来たか,なぜ致死率90%と高いのか,治療や予防法はあるか,日本は大丈夫か,とさまざまな疑問が投げかけられている.ウイルスハンターや医師たちの苦闘の歴史を振り返り,ウイルス専門家の立場からエボラ出血熱の現在を紹介する.
目次
目 次
はじめに
プロローグ──新しい感染症の時代の到来
1 マールブルグ病
2 ラッサ熱
3 エボラ出血熱
4 エボラ2014
5 エボラウイルスをめぐる問題
6 エボラの治療と予防
7 エボラと日本
おわりに
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
46
昨年世界中で感染が心配されたエボラ出血熱について過去の発生経過や、感染と感染者への対応が書かれている。後半は専門的な内容もあり難しく感じたが全体ではエボラに対する理解が少し深まった気がする。エボラについて描かれたリチャード・プレストンの『ホットゾーン』。この本中に出てくるエボラ出血熱の症状が実際よりかなりオーバーに表現されていると言及されていることも知った。問題を一冊の本だけで知ろうとすることについてこれからは注意して読書を続けていきたい。2015/10/18
★YUKA★
31
まだ記憶に新しい、エボラ出血熱の大流行。かなり昔に『ホットゾーン』を読んだ時に感じた危機感、ついに日本にも…という日も遠くない気がします。 レベル4のウイルスを扱える実験施設の、一日でも早い稼働を願います!2015/10/18
calaf
27
新薬の開発って10年単位、少なくとも年単位の時間が必要だと思っていたのだけど、確かに昨年(2014年)からのエボラ出血熱の拡大阻止のためには、大急ぎでやることが必要であり、数ヶ月で済まそうとしているらしい...すごい。それにしても、国内にはエボラウイルスのようなクラス4の病原体を扱うために作られたレベル4の実験施設は1981年から存在するものの、住民の説得がされずに、運用問題として取り扱えない状態が続いているらしい...何やっているのだか...2015/04/02
zoe
20
コンゴ・ザイールの致死率80-90%。2013年は20000人感染し約40%の致死率。フィロウイルス。液性免疫(GP抗体)と細胞性免疫(NP, VP40)。免疫効果、最長で10か月くらいのもの。TKMエボラ。ジーマップ。キメラ抗体、タバコの葉で産生。ファビビラビル。ブリンシドフォビル。2018/08/10
まゆ
3
エボラウイルスを中心に、マールブルグウイルス、ラッサウイルスについて最初の出現から現在までの状況が書かれている。驚いたのは日本は1981年、米国・英国・南アフリカに続き世界で4番目にレベル4の実験施設を作ったが、未だに法令が整わないせいでレベル4ウイルスが扱えないのだそう。著者はそれは政府の怠慢であると指摘し、日本のウイルス研究は世界トップレベルであるにも関わらず、その能力を発揮できない、と嘆く。つい最近も韓国でMARSの流行があったばかり。アジアの感染症予防はやはり日本が主導するべきではないのか。2015/08/19