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内容説明
デフレ脱却と景気浮揚を標榜するアベノミクスの出口戦略は? 仮想通貨の登場後も金融政策はこのままでよいのか? バブル崩壊前後の日本の経験を踏まえ,金融政策を理論と現実の両面から総点検し,何が金融政策で可能なのか,日銀と政府の役割は何か,新しい制度設計を見据え,再検討する.金融政策と日本の未来を考える1冊.
目次
目 次
はじめに
第一章 日本の経験
一 高度成長とその終わり
二 流動性の罠とインフレ目標論
三 そして異次元緩和へ
第二章 物価水準の財政理論
一 誰が貨幣価値を支えているのか
二 物価水準の財政理論と金融政策の役割
第三章 マイナス金利からヘリマネまで
一 成長の屈折と自然利子率の問題
二 マイナス金利政策の意味と限界
三 ヘリマネはタブーか
第四章 金融政策に未来はあるか
一 貨幣の最適供給問題
二 仮想通貨から考える
三 通貨が選択される時代で
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
89
岩村さんの最近の理論を入れ込んだ金融政策論で小冊子ながら現在における問題点などをうまく整理してくれています。しかしながらやはり日銀のご出身ということもあって現在の日銀の政策に対してはやや歯切れの悪いところもあるきがします。今先進各国は出口戦略を行い始めています。日本は今後どのような金融政策で行くべきかをこの本を読むことにより若干ながら理解できたようなきがします。2018/07/11
佐島楓
54
最新の学説に触れられたのはよかった。私はどんどん経済学のセオリーは崩れてきていると思っているし、大衆をマスとして捉えるのにも限界が生じてきていると考えているので、決定的な処方箋はないような気がしている。2018/07/01
skunk_c
22
現在の日銀の「異次元の金融緩和」を、主にFTPL(直訳すると物価水準の財政理論だそうだ)という理論的枠組みを使って批判的に分析する。金利がゼロに近づくと金融政策が困難になる「流動性の罠」など、既知の理論から、フリードマンの「ヘリマネ」、そして貨幣の限界費用価格での供給など、かなり「頭の体操」を強いられた。興味深いがすっきり分かったとは言いがたいのは、経済学部でのトレーニングを受けていない読み手だからか。仮想通貨から説き起こす通貨間競争という「解」が正解かは分からなかったが、知的好奇心はかなり刺激された。2018/06/26
ophiuchi
12
経済学の知識がほとんどないので、数式はほぼ読み飛ばした。大規模金融緩和はもう引き返せないところまで来てしまったように思うが日銀黒田総裁はこの先どう取り繕うのだろう?2018/10/31
パット長月
6
著者の本は20年くらい前に読み、モジリアーニ・ミラー理論の明快な説明に大いに啓発を受けた「入門企業金融論」以来であるが、本書もまた、物価水準の財政理論を、たぶん高校生でも理解可能なレベルにまで嚙み砕いて説明し、それを核に現在の政府の金融政策の問題点と著者による政策的提言が盛り込まれ、小著とはいえ、名著である。しかし、金融政策の理論的な分析が非常に明快で、説得力を帯び、現状に、ある意味大戦前夜のような不気味さを感じるのに対し、対する提言が今一つなことである。それほど難しいのだろうなと、暗い気分に襲われる。2018/07/29