岩波ジュニア新書<br> 財政から読みとく日本社会 - 君たちの未来のために

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岩波ジュニア新書
財政から読みとく日本社会 - 君たちの未来のために

  • 著者名:井手英策
  • 価格 ¥968(本体¥880)
  • 岩波書店(2018/08発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784005008483

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内容説明

なぜ社会保障は高齢者向けの支出が中心なのか,なぜ公共投資が多いのか,教育費の私的負担がなぜ多いのか,税の負担をなぜ重く感じるのか…,財政の七つの特徴をわかりやすく説明しながらこれからの日本社会のありかたを考えます.弱者を生み出さず,誰もが安心して生きられる社会への道筋を提案します.

目次

目  次
   はじめに

 第1章 財政のレンズをとおして社会を透視しよう
    「必要」が生み出した財政/社会を映し出す鏡としての財政/特徴その一 小さくて信用されない政府/特徴その二 かたよった社会保障/特徴その三 公共投資が大好きな日本/特徴その四 農業に関心をうしなった国民?/特徴その五 教育への投資が少ない/特徴その六 税金は安いのに痛みは大きい/特徴その七 融通がきかない予算/社会をつくりながら社会を知る
 第2章 小さな政府はどのようにつくられたか
   政府が小さいということ/望ましい大きさを決めることのむつかしさ/インフレーションが生んだ「総額に気をつかう財政」/生き残った戦争中のことば/ 「勤労国家」と「自己責任の財政」/貯金をエンジンとした日本経済/低成長と公共事業の急増/ 「総額に気をつかう財政」と「シーリング予算」/自助・共助・公助の社会/なぜ財政は変わらなかったのか/経済の長期停滞と財政危機
 第3章 成長しなければ不安になる社会
   社会保険ってなに?/現金給付と現物給付がまざった社会保険/日本の医療と介護/お父さんやお母さんたちの苦労/家族への現金給付への反対/家族を大事にする/貧弱な障がい者給付/障がいの問題は自分の問題だ/生活保護とうたがう気持ち/勤労国家と僕たちの社会保障制度/小さな政府をささえる条件が消える
 第4章 公共投資にたよった日本社会の限界
   荒廃から立ちなおるための公共投資/農業経営の効率化への動き/公共投資が公共投資を呼ぶ/公共投資と人の動き/コミュニティがささえた小さな政府/公共投資と族議員政治/族議員政治の根っこにあった日本社会の分断/公共投資の激減と建設業の衰退/農業も衰退した/公共投資の削減が生み出す新しいコスト/公共投資にたよらない社会を考える
 第5章 柔軟で厚みのある社会をささえる教育
   少なすぎる日本の公的教育支出/生活が苦しくなり、子どもをあきらめる/おかしな教育の格差/なぜ公的な支出が少ないのか/奨学金問題/教育と経済成長/貧しくなった日本人/就学前教育の重要性/国際的な日本経済の地位/教育よりも経済が大事な日本人/よりよい社会のための教育
 第6章 税の痛みが大きな社会をつくりかえる
   増税のむつかしい国/毎年のようにくりかえされた所得減税/増税でサービスを改善する経験がなかった日本人/大きく変わった社会/余裕をなくしてしまった日本人/社会保障・税一体改革の意味/お年寄りも困っている/ 「袋だたきの政治」/人間を信頼できない社会と自己責任/税制と民主主義
 第7章 「君たち」が「君たちの次の世代」とつながるために
    「勤労国家」によるみごとな統治/経済成長という土台がくずれる/逆回転をはじめた「勤労国家」/相手を仲間ではなく他人と思う社会/小田原市の小さな物語/ 「何がちがうか」ではなく「何が同じか」を考える/ 「私」と「私たち」のちがい/現物給付をみんなに配る/ 「だれもが受益者」という財政戦略/格差が大きくならないか/現金給付と現物給付の決定的なちがい/重税国家ではない/経済の時代から人間の時代へ
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

k5

28
財政がマイブーム。現在の社会保障費は高齢者向け中心で、教育をはじめとする若い世代への支出は他のOECD加盟国としても少ない、だから増税を前提に誰もが受けられる公共サービスの充実で格差を圧縮すべきだ、という考え方は現役世代の私の耳に快いですし、「勤労」を重んじる日本のバイアスがこれを防いできた、という主張も納得。よい本です。ただ、よく考えると財務省の都合の良い話でもあり、現下の状況でも誰も増税で補償をまかなうと言わないので、一回眉に唾つけて逆方向の本も読んでみないと、と思ってます。2020/04/11

横浜中華街2024

15
ジュニア新書ながら大人が読んでも十分勉強になる内容。 「日本経済の成長のカギは技術革新に支えられた生産性の上昇にあるわけです。・・ところが・・公的な教育支出はいまだに先進国最低のレベルです。それだけではありません。技術革新を支えるのは基礎研究です。基礎研究の4分の3以上が大学や政府機関で行われていますが、日本の大学・政府機関による研究開発投資は先進国で下から2番目というのが現状です。財政の中で教育の地位を高めていくことは、人間の権利、そして経済の未来、いずれにとってもとても大切なことだと言えるでしょう。」2021/11/02

魚京童!

15
お金を貯め込んでいる。使わないからダメなんだって。使ったら、使い続けるしかないのに。どうしたいんだろうね。それで満足なのかな。どこまでも、どこまでも使っていく。右肩上がりの成長。それは幸福なのかな。人間の目的が永続性であるのなら、適者生存であるのか、個人の幸福の最大化、あるいは…。いろんな人が集まっててんやわんやだよね。全部グーグルに任せればいいと思う。それで信じる未来が完成する。考えない自由を獲得する。チャーミンのわれらに通じている気がしてしょうがない。あるときに吹っ切れてしまうのかもしれない。それって2020/08/09

じんべえざめ

9
著者のこの国を想う気持ちが溢れている。読み応えのある1冊。良書。小田原市の事例は示唆に富んでいる。2020/07/29

paumi

9
良書!確実に良書!出版年が今年なので新しい情報·情勢で財政を読み解いている。「財政の仕組みがわかる本」も同レーベルにあるが、こちらのほうがもっと噛み砕いてわかりやすく書かれている。両方とも読むことをおすすめしたい。教育の重要性について書かれているが、これは教育格差を感じる私にとって痛いほどわかる内容だった。恐らく政府はこの状況を改善する気はないのだろう。外圧でもなんでもいいからもっと暮らしやすく、生きやすい社会に変えてほしい!2017/11/28

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