岩波新書<br> 唐物の文化史 - 舶来品からみた日本

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岩波新書
唐物の文化史 - 舶来品からみた日本

  • 著者名:河添房江
  • 価格 ¥1,012(本体¥920)
  • 岩波書店(2018/07発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004314776
  • NDC分類:210.1

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内容説明

正倉院の宝物,艶やかな織物や毛皮,香料,楽器,書,薬,さらには茶や茶器,珍獣まで…….この国の文化は古来,異国からの舶来品,すなわち「唐物」を受け入れ吸収することで発展してきた.各時代のキーパーソンとの関係を軸に,唐物というモノを通じて日本文化の変遷を追う,野心的な試み.【カラー口絵8頁】

目次

目  次
   はじめに

 第一章 「唐物」のはじまり──正倉院と聖武天皇
   唐物のルーツをたどる/ 『万葉集』の中の「舶来品」/日本産の「からもの」/正倉院の錦の逸品/聖武天皇の遺品あれこれ/遣唐使・吉備真備がもたらしたもの/聖武天皇の舶来趣味/聖武朝の国際関係/新羅使がもたらした舶来品/鑑真の来朝/王羲之父子の書跡/異国文化受容の糧として
 第二章 百花繚乱、貴族があこがれた「異国」──「国風文化」の実像
   嵯峨天皇という人/ 「茶」の伝来/王者を彩る文物/正倉院の新羅琴/嵯峨朝と渤海/渤海国使と正倉院宝物/承和の遣唐使/仁明天皇の唐物趣味/富裕層への広がり/ 「国風文化」の実像/黄金と「火鼠の皮衣」/ 『うつほ物語』と二つの交易ルート/秘色青磁と瑠璃/俊蔭が招来した唐物/蔵開以降の世界
 第三章 王朝文学が描く唐物趣味──『枕草子』『源氏物語』の世界から
    『枕草子』を読み解く/唐の紙と青磁/定子の華やかな正装/ 「この世をば わが世とぞ思ふ」/道長の書物への愛着/入宋僧との交流/実資が残した記録/ 『源氏物語』の時代/源氏の女君たちと和漢の構図/薫物は和か漢か/ 『うつほ物語』と『源氏物語』の香り/舶来の紙の手本/ 「光源氏」にあこがれた人々
 第四章 武士の時代の唐物──福原・平泉・鎌倉
   平清盛の台頭/清盛と『源氏物語』の明石一族/福原での日宋貿易/ 「楊州の金、荊州の珠……」/ 『平家納経』と『太平御覧』/世界遺産・平泉と唐物/ 『吾妻鏡』の記事/鎌倉将軍と北条一族/沈没船は語る/渡海僧・渡来僧の時代/金沢文庫の遺物から/兼好の唐物嫌い/ 『明月記』と『徒然草』
 第五章 茶の湯と天下人──中世唐物趣味の変遷
   バサラ大名、佐々木道誉/道誉の「逸脱の美学」/足利義満と「日本国王」/朝鮮との外交/義満の文化戦略/美術品としての唐物/ 『君台観左右帳記』の世界/義政と書院の茶/ 「つくも茄子」の行方/ 「和漢のさかいをまぎらかす」/信長の名物狩り/ 「茶湯御政道」/信長御物から太閤御物へ/家康から柳営御物へ
 第六章 庶民が夢みる舶来品へ──南蛮物・阿蘭陀物への広がり
   家康の「御分物」/南蛮貿易のはじまり/信長・秀吉の南蛮趣味/秀吉の強硬外交/家康の親善外交/南蛮貿易の終焉とオランダの台頭/鎖国体制の確立/カピタンたちの記録/ 「蘭癖の将軍」吉宗/朝鮮人参とサトウキビの国産化/天皇に謁見した象/庶民たちの「象フィーバー」/江戸初期の唐物屋/西鶴のまなざし/庶民でにぎわう唐物屋/阿蘭陀趣味の流行/金唐革の変貌/唐物屋の終焉
 終 章 「舶来品」からみた日本文化
   唐物の歴史/尚古趣味と新渡り物/和製の唐物/唐物の日本的変容/ 「日本の中の漢」に位置する唐物/ 「日本の中の和」にとりこまれる唐物/ 「和漢のさかいをまぎらかす」再考
   参考文献
   あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

29
巻頭カラーに正倉院螺鈿紫檀五絃琵琶などが美しい。唐物とは中国からの舶来品だが、転じて異国からの舶来品を総称(1頁)。『太平御覧』は宋の太宗が、李昉に命じて編集、983年完成した大百科事典(105頁)。唐物と和物が融和的に扱われ、質の変化もみられる。官窯の完成美→民窯の唐物、高麗物・和物へのなだらかな転換は、会所での茶→小座敷の茶への転換と一致(148頁)。吉宗は蘭癖の将軍で開明的。西洋文化を招来した人。洋学も活用しようとした(180頁)。2015/07/15

ようはん

20
唐物の語源は中国の唐王朝ではなく朝鮮半島の古代国家である加羅がルーツで唐物自体も中国だけではない海外からの渡来物を指すという話。主に毛皮を輸入していた渤海との交流、竹取物語や源氏物語に見る唐物の考察や戦国時代の茶器に江戸時代の舶来文化が唐物屋という存在を通じて民衆に広がり始める過程等充実した内容が多かった。2020/12/11

19
古代から近世までの唐物こと舶来品の受容の歴史を記した本。源氏物語を例にして非唐物派として紫の上、唐物派として末積花や明石の上を取り上げてたところが面白かった。確かに、クロテンの毛皮をまとって、唐物の食器に貧しいごはん食べてたわ、あの人。明石の上は、明石という博多と都の中継地が清盛の日宋貿易を思い起こさせたこともあり、なるほど明石入道成金だったもんなあと。建礼門院を明石中宮に平氏がなぞらえてたのもむべなるかな。エッセイっぽくて、まとまりはないが面白かった。2020/01/19

非日常口

15
中国が真、日本が仮。真名と仮名。だがそこに上下はない。和漢の境をまぎらかすというのは、日本がずっとやってきたことだ。また、舶来品を考えることは、日本の経済史を見ることでもある。清盛が日宋貿易を、義満が日明貿易、秀吉は禁教しつつ貿易だけは続けた。権力の象徴として唐物と和物は見せられた。現代まで名品として伝えられるものを目利きしたのは義政だ。その流れから利休のわびさびが生まれたと考えるとまさに文化の転換点といえる。義政がいなければ曜変天目も失われていたかもしれない。日本文化の底流を覗ける一冊。2015/02/19

かんがく

12
唐物(舶来品)がどのように輸入され、どのような役割を果たしてきたのかを遣唐使~江戸時代まで長いスパンで扱う。『源氏物語』や『好色一代男』などの文学作品が唐物受容のメディアとなったことを指摘している点が面白い。他にも貴族の日記や絵画など豊富な史料を用いており、当時の人々が唐物に対して抱いた憧れや忌避感が良く伝わってくる。ゾウが来て関連グッズたくさん作るあたりとか、現代と変わらないなと思った。2021/05/29

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