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内容説明
日本財政の神様がその晩年に語った、自由主義者として生きた生涯の軌跡。未曾有の金融恐慌を乗り切った財政政策や、政党政治家として接した原敬、山本権兵衛、牧野伸顕、田中義一らの横顔。そして自身の宗教観や家庭観、教育論など幅広く、深い知見に満ちた思索。〈解説〉井上寿一
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katashin86
2
聞き書きや講演録をまとめた、高名な「自伝」の事実上の続編。原敬暗殺の直前のやり取りの記憶、いまだ語り継がれる恐慌収拾の回想など読みどころ多々。 2.26の最期はとかくこの人にふさわしくない悲劇。たたき上げとしてあまたの経験を経てきたゆえの世俗超越的なところが、当時の人にはどこか選良・特権階級として見えていたのだろうか。2023/03/15
くらーく
1
今ならマスコミに言葉尻を捕らえられて、いろいろと突っ込まれそうな事を書いているなと。女性観なんかね。個人的には同意だけどな。 また、経済に関するところは、欧米の事を良く知っていたし、その上で凌駕するような考えがあったんじゃないかねえ。実際に、景気回復のための金融緩和をした後に、財政再建のための引き締めもしているし。結構、短期間で結果を出しているところは、世界でも珍しい経済が分かった政治家だったのではないかと。平成の是清と言われた方とは、レベルが違うのではないかねえ。随想録なんで、どこから読んでもOK。2019/04/20
akanishi
1
禁煙の話が面白かった。蔵相として軍事費ほかを削減しているので、悪いと思って禁煙したという。当時77歳くらいか。2019/01/09
Sosseki
0
昭和恐慌の取り付け騒ぎを、モラトリアムでわずか一月余りで収めた発想、経済・金融への理解、金融機関や政府関係者への説得や根回しを経済学など学んだことのない人物がやり遂げたのは信じられない。目を悪くし、病気を押して蔵相も務めながら、82歳で2.26で暗殺される。語り口は分かりやすく、奢らず、他国との協調を重んじ、人であれ、企業であれ意味もなくお金を貯めこむことをよしとしなかった。どんな仕事であれ真摯に向かうことの大事さを説いているが、その通りの人生だ。2021/05/12