内容説明
僕は君原樹来、小学校6年生。将来の夢は推理小説作家。作品の題材になるような難事件の話を聞きたくて、元刑事のじいじの家に遊びに来た。そうしたら交換殺人や密室、ダイイングメッセージとかすごい謎ばかりで期待は的中! でもね、じいじ。その解決、僕はそんなことじゃないと思うんだけどなあ。可愛らしい名探偵の姿を通じて、本格ミステリーの粋を尽くした魅惑の短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
34
「僕は、そんなことじゃないと思うんだけどなあ」。12歳の少年による安楽椅子探偵もの連作集で、ライトな読み味だが侮るなかれ。どの篇も本格的で読み応えがあり面白かった。密室や交換殺人、双子、見立てなどミステリの定番を題材にしており、事件も退職刑事のじいじの時代のものということで雰囲気も良さげ。そして何といっても少年の見事過ぎる着眼点と鋭い推理力による事件の構図の反転ぶりが堪らない心地良さ。特に表題作が秀逸の出来。色々と仰天させられた。「ふたりはひとり」「天使の手毬唄」もトリッキーさが良い。長編も読もうと思う。2018/04/16
坂城 弥生
24
短編集。双子の話しがインパクトあった。結局強く、したたかなのは女性の方なのかもしれない。2018/12/07
那由多
23
小六の孫が刑事だったじいじの家に遊びに行き、お寿司とテイクアウトのドーナツを食べたら、お楽しみの時間の始まり始まり。孫がねだるのは、密室や交換殺人に見立て殺人のお話。おじいちゃんが過去の事件を語ると、「僕は、そんなことじゃないと思うんだけどなあ」と別見解を披露する6話。賢く推理を述べる孫が名探偵にありがちな生意気さがなく、素直なおじいちゃん子で、祖父プラス孫の組み合わせでほのぼのさせてくれ、伏線をしっかり確実に回収してくれる本格ミステリなところも合わせて私好みでした。2020/02/29
にゃるび
20
深木章子の初短編集。元刑事のじいじの昔語りの謎を孫の樹来が解き明かす安楽椅子探偵もの。いつもの大掛かりな構成もいいけど、こういう細かいロジックのものも書けるのだなと引き出しの多さに感嘆する。表題作が1番好きで、これは長編でも丸々一本書ける気もする。シリーズ化してほしいなと思ったら、既に樹来が大学生になったものがあるのですね!楽しみ!2018/05/23
きょん
17
初読み作家さん。安楽椅子探偵ものが好きで手に取ってみた。やはり表題作の交換殺人物が一ひねりも二ひねりもあって秀逸。2018/04/19