教誨師

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教誨師

  • 著者名:堀川惠子【著】
  • 価格 ¥792(本体¥720)
  • 講談社(2018/04発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784062938679

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内容説明

半世紀にわたり、死刑囚と対話を重ね、死刑執行に立ち会い続けた教誨師・渡邉普相。「わしが死んでから世に出して下さいの」という約束のもと、初めて語られた死刑の現場とは? 死刑制度が持つ矛盾と苦しみを一身に背負って生きた僧侶の人生を通して、死刑の内実を描いた問題作! 第1回城山三郎賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

449
著者はこれまで大宅壮一ノンフィクション賞をはじめ数々の受賞歴を持つ。特に死刑をめぐる問題への関心が高いようだ。本書は、東京拘置所の教誨師を長年勤めた渡邊普相(浄土真宗の僧侶)へのインタビューをまとめたもの。私たちは日本において死刑が執行されていることを知っている。でも、そのことを考えないようにしているとも言える。渡邊は何人もの死刑囚に教誨師として語り合い、また死刑執行にも立ち会っている。死刑囚になるかならないかは僅かの差であり、その一方で執行の前と後との差は絶大である。死刑の持つ意味を再考すべきだろう。 2022/05/14

chiru

149
教誨師と死刑執行までの日々を描く実話。死刑の是非ではなく、教誨師の瞳に映る『確実な死を約束された人間』を描く。大勢から死を望まれる死刑囚の、残りの人生に向き合う教誨師。迷い間違う同じ人間として彼らに寄り添う姿に、尊いという言葉では言い現わせないほど心を打たれました。罪は消えない。でもせめて、最後は安らかな気持ちで旅立ってほしいと願う。引用…「どのような過ちを犯した時も、どんな絶望の淵に陥った時も、少しだけ休んだら、また歩き出す力を持ちたい」罪を償うということは、自分の人生を投げ出さない事だと思う。★42020/04/30

モルク

140
死刑囚と対話し死刑執行の場にも立ち会うという教誨師。それを50年もの間続けた渡辺普相僧侶の告白。自分が死んでから世に出してほしいとの約束の元に出されたノンフィクション。渡辺氏の生い立ち、広島の原爆、その時仲間を助けずに逃げた悔恨の思いを常に持ち氏はこの仕事を行なった。いつかわからぬ死刑執行の日、死刑囚の想い、あんな些細なことから始まった転落…そして悔恨また恨み…様々な心模様を語る氏の死刑囚それぞれに対する深い思いを感じる。心通わせた彼らの死刑執行…氏の苦悩はいかばかりであったかを感じざるをえない。2019/05/03

kinkin

122
拘置所の教誨師を務めた渡邉普相氏について書かれた本。死刑囚の教誨師、死刑が執行されるときにお経をあげる人のことだと思っていた。実は死刑囚のカウンセラー的な役目のほうが主ということを知った。仕事といっても(ほぼボランティア)を始めるきっかけや氏が広島で被爆したこと、多くの死刑囚との関わり、そして自らがアルコール依存になってしまったことなどが書かれている。他の読メ投稿さんも書かれている言葉「自らの罪業に気づかぬ人は善人。己の罪深さを知りながら懸命に生きるのが悪人。善人が許されるなら、いわんや悪人をや。」重い2021/02/13

読特

117
人は過ちを犯すもの。完全ではない人間という存在が作る社会も完璧にはならない。それでも、日々進歩していかなければいけない。・・命をもって罪を償う。古代、中世、近世、現代。その適用は進化とともに減少している。先進国の多くが制度を廃止している。一方、日本では存続支持が多数を占める。罪は犯人と社会が共同で犯したもの。社会を形成する人々にも見つめ直すべきことがある。その責務は一部の人にのみ担われる。教誨師、死刑囚の心を支えるその任務はあまりにも重い。その半生を辿る。一時ばかりでも完成にはほど遠い世の中を嘆いてみる。2022/05/13

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