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内容説明
「貸出先がない」「銀行の数が多すぎる」という銀行の常識は正しいのか。「十分な担保・保証がある企業以外には貸し出しをしない」という「金融排除」を銀行自らが疑いもしないのはなぜか。特に人口減少の激しい地域で、この問題を放置すれば、地方の衰退を招くだけでなく、金融機関の自滅にも繋がりかねない。そこで金融庁は、排除の克服を求め「未来の健全性」を重視した銀行検査に着手。本書では「金融排除」の実態を明らかにしつつ、革新的なビジネスモデルで実績を上げ始めた金融機関の事例も紹介。「銀行消滅」に怯える前に、地方金融が活性化する方策はいくらでもある!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
88
この著者は、1~2年前に「捨てられる銀行」「捨てられる銀行2非産運用」という本で銀行員の間ではベストセラーになった本を書いた記者です。金融庁が書かせた感じですが、内容はすごくしっかりしているものでした。この本も題名が大分扇情的ですが、きちっと調べていて他の類書よりもはるかにいいものです。特に最初のところで書かれている実例は本当にいい例です。「奇跡のリンゴ」「風で織るタオル」「大阪黒門の老舗魚屋」の三つの例では銀行に見放され本当に皆さん地獄から這い上がった人ばかりです。ただし親身になっている銀行もあります。2018/01/31
えちぜんや よーた
80
要するに「金融機関は事業者とともに汗をかけ」ということを言いたいんだろう。ただ「かぼちゃの馬車」が脱輪して以来、金融庁が行政方針としてすすめる「事業性評価」というのが「武士の商法」にしか見えない。森長官が絶賛していたスルガ銀行のビジネスモデルとは一体どうなるんだ。ただし最後に京都信用金庫が自分の職員に事業をしてもらって5年以内であれば出戻りOKという箇所に救われた。その部分がなかったらわざわざ読んでも興ざめするだろう。2018/04/27
ともひろ
15
行政方針に突如出てきた「金融排除」という言葉。融資を受けられず、金融から排除された企業に手を差し伸べているのかということだろう。本書では、地域金融機関が創設された経緯や意義を踏まえ、もっと事業者、地域の発展のためにどうあるべきかという論調になっている。今の金融機関の在り方は、バブル崩壊後の不良債権対応で金融行政によりもたらされた側面は強い。しかし、今後、お客さまから選ばれる金融機関になるためには、そもそものビジネスモデルを見直す必要があるだろう。本書では、その示唆に富む事例が多く紹介されている。2018/03/08
スプリント
14
事例の紹介が妙に長く主題がぼやけ気味でした。2019/11/03
まゆまゆ
13
貸し手がいない、銀行の数が多すぎる、などと言われる地方の金融機関。なぜ貸し出しが増えないのか、それは借り手である顧客を担保や保証でしか判断しないから。そんな中でも顧客ととことん向き合って、事業の応援をしている金融機関の事例を紹介していくルポ。資金が必要な顧客を自ら排除して個人カードローンにばかり目を向ける金融機関ばかりではないことが知れただけでも満足。2018/06/07