内容説明
学生会館が出火し、居住者の学生一人が焼死した。被害者が所持していた現金も消えていた。所轄の中原刑事は学費滞納で除籍になっていた安田を自白へ追い込む。しかし男は法廷で自供を覆したのだ……裁判制度の矛盾を抉る長篇サスペンス!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
62
大学の学生会館、一人の男が殺され現金を奪われた。犯人は自供するものの、裁判ではそれを翻し…という粗筋からわかるように、ミステリではなく裁判を主題にした一冊。現在なら鑑定ですぐにわかるような事でも関係者の判断が分かれる部分等は時代を感じるなあ。著者としては問題提起をしたかっただろうけど、こちらとしては地味な記述が続き読んでいて辛い部分も多い。他の裁判小説に見られるような驚くべき展開があるわけでもないし、関係者が専門的な論述をするだけだし。どうも著者の他の小説に見られるようなダイナミズムに欠ける作品でした。2024/01/08