ハヤカワ文庫JA<br> 目を擦る女

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ハヤカワ文庫JA
目を擦る女

  • 著者名:小林泰三【著】
  • 価格 ¥638(本体¥580)
  • 早川書房(2017/10発売)
  • 5/5はこどもの日!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~5/6)
  • ポイント 150pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784150307363

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内容説明

「わたしが目を覚まさないように気をつけて」隣室に棲む土気色の肌の女は言った。指の付け根で目を擦りながら―この世界すべてを夢見ているという女の恐怖を描いた表題作、物理的に実行不可能な密室殺人を解明する驚天動地の推理劇「超限探偵Σ」、無数の算盤計算によって構築された仮想世界の陥穽「予め決定されている明日」ほか、冷徹な論理と呪われた奇想が時空間に仕掛ける邪悪な7つの罠。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

45
「見晴らしのいい密室」という改題と短編の並び替えで再版された作品ですが笹井一個さんのイラストが好きなのでこの版で読了。表題作はくるりくるりと廻る妄想か現実か分からなくなる所に眩惑。人類のために自らの幸せを半ば、諦めて起きずに夢を見続ける女は不吉な予言は当たるが信じて貰えないカッサンドラのよう。「刻印」は蚊型宇宙人とのラヴストーリー且つとあることへの証明というとんでもない発想で度肝を抜かれました。「予め予定されている世界」は厳格的決定論の変形で「脳喰い」がこの短篇集のテーマを濃縮しているように思えます。2013/07/11

★YUKA★

44
表題作の『目を擦る女』、『刻印』が面白かった。他の5編はちょっと読みづらく、苦手でした。ハードSFというジャンルなのですね(゜゜)2016/12/18

みや

38
SF寄りのホラー短編8作収録。この著者が生み出す「歪んだ人」がいつも大好き。今回もゾッとする薄気味悪さが最高に心地よかった。自分はずっと眠って夢を見ていると言う女の隣家に引っ越した表題作と、算盤の計算によって構築された仮想世界で女性が電子計算機で計算をする『予め決定されている明日』は特に女性の静かな狂気が巧みに描かれている。面白すぎて読みながらニヤニヤした。トイレの中に等身大の蚊がいる『刻印』も好き。こんなにも純粋な人外との恋愛なのに、ビジュアルを想像すると吐き気を催す。『脳喰い』のグロエイリアンも良い。2020/06/27

koma-inu

27
ファンタジー、SF、小ネタミステリなど、色々含んだ7短編集。ホラー色はやや薄め。まず独創的なタイトルと表紙が目をひきます。イチオシは「刻印」。エイリアンが侵入した日本の話。主人公はエイリアンである「等身大の蚊」と出会い、やがて恋に落ちる・・。という、あまりにもバカげた展開。「僕はトイレを開けた。トイレの中に等身大の蚊がいた。僕はすぐさまドアを閉じた。」というシュールな出会いが素晴らしい。オチもなかなか笑える内容でホッとします。2024/05/05

紫伊

24
綺麗なロジックと絶妙な気持ち悪さ。短編で切れにまとめられている中にしっかり練り込まれていてとても面白い。好きなのは「目を擦る女」、印象深いのは「刻印」。「目を擦る女」は妄想と現実が入り乱れどちらの世界なのかわからなくなりどろどろした気持ち悪さとラストすっと綺麗に筋道が通るのが好き。「刻印」は好きな要素である人外の恋愛も相手がこうなるだけで一気に気持ち悪くなるのだなと思った。愛なのだ、でも…。オチの付け方がとても好き。これらの気持ち悪さがとても好み。2020/07/21

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