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内容説明
1970年代後半に始まる日本のアウトドアブームの中で「アウトドアの伝道師」と呼ばれ、遊歩大全の翻訳者としても知られる芦澤 一洋の「釣りもの」。
北海道から東北、中部、山陰、九州まで15本のヤマメ釣りの名川を、芦澤さんが詩情ゆたかに書きあげた川の物語。芦澤 一洋さんが愛した川のガイド。
私の釣りは漁ではない。かといって、スポーツでもない。
数字を示す必要など、どこにでもないではないか。
私にとっては、どんな山女魚にも価値がある。
対手は、森と川と山女魚、あまりに偉大だ。
私は旅人として、山女魚の里の風景、そのすべてを瞼の奥に焼きつけたかった。
【収録河川】
北海道尻別川
岩手県志戸前川
岩手県
山形県鼠ヶ関川
福島県黒谷川
福島県鱒沢川
山梨県芦川
山梨県雨河内川
富山県小矢部川
岐阜県跡津川
岐阜県高原川
岐阜県小八賀川
島根県高尻川
宮崎県鹿川
熊本県緑川
川の位置情報がわかる日本地図や当時の川や芦澤 一洋さんの写真もお楽しみいただけます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roatsu
18
山女魚や岩魚を釣り歩きながら、各地の川や森を行く描写はまるで著者と一緒に竿を出しているような臨場感がある。また、芦澤さんは自然とその中の人間や自身の在り様についてこんな考えや思いを巡らせていたのだな、とその深さと複雑さも垣間見る。それらに賛否はあるだろうけれど、自然を本当に愛して人間として可能な限り謙虚かつ誠実に向き合おうとしたのだな、と芦澤さんの在りし日を追想できるエッセイ。時代は流れて今日でも渓流釣りやアウトドアレジャーは隆盛だけれど、芦澤さんは現状を見てどう考えるだろうか、と思いつつ。2018/05/14
志村真幸
0
1989年に出た単行本の文庫化。 15篇のエッセイが収録されている。北海道の尻別川で人工孵化とは無縁のサケに挑戦したり、福島の鱒沢川で川の荒廃を憂いたり、島根の高尻川でゴギを釣ったりといった具合だ。 どちらかというと社会批判的な色合いが強く、単純に釣りエッセイを読みたいひとには向かないかも。 ともかく、自然と人間に真摯に向き合ったひとだったと思う。 2018/02/05