内容説明
本書では「広告が売り上げに影響したのか?」「ある政策を行ったことが本当に良い影響をもたらしたのか?」といった、因果関係分析に焦点を当てたデータ分析の入門を展開していきます。なぜ因果関係に焦点を当てるかというと、因果関係を見極めることは、ビジネスや政策における様々な現場で非常に重要となるためです。また、この「因果関係の考え方」について、数式を使わず、具体例とビジュアルな描写を用いて解説していきます。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
95
ビッグデータについては、あまり方向性が感じられなかったせいかあまり大きな話題とはなりえませんでしたが、それを利用するAIというキーワードのよって、データからどのようなものを導き出すのかあるいは利用していくのかという面で少し今後に期待がもてそうです。そのようなデータについての分析方法などを数式を用いず分かりやすく説明してくれます。昔勉強した計量経済学がやっと出てきたという感じです。2017/07/25
ひろき@巨人の肩
77
因果関係を導く4つの分析手法を実践例とともに解説する入門書。内的妥当性が最も強いランダム比較試験(RCT)。2つの自然実験の1つ「RDデザイン」は境界線を上手く使い非連続な変化を見つけ出す。もう1つは「集積分析」はインセンティブなどの階段状の変化を利用して境界点での非連続な変化を分析する。複数期間のデータが使える場合は、平行トレンドの仮定のもと、パネル・データ分析が有効。データ分析の際は、「出版バイアス」「パートナーシップ・バイアス」「比較グループへの波及効果」に注意する。2024/03/19
ちくわ
69
仕事柄よく統計処理を行うが、同じデータを扱っても導く結論を恣意的に操作出来る。統計を扱う方には理解頂けると思うが、比較対象や切り取り方で良くも悪くも自在に表現可能。そんな統計解析をもっと正しく詳しく学びたく本書を読んでみた。 感想…難解だったが納得したし何より面白かった。行政・民間を問わず様々な施策がこのような合理的根拠を持って迅速に決定・実行されて欲しい。また、デジタル化によるIoT由来の構造化されたビッグデータと統計解析の親和性の高さを感じたが…硬直化している日本ではデジタル化は遥か遠い未来なのかな?2024/02/27
rigmarole
57
印象度A-。仕事の関係もあって、計量経済学(介入効果の測定とデータ分析)について書かれた本書を手にしました。その方面の入門書でもありますが、一般読者に対する啓蒙書という色彩が強く、中室牧子『「学力」の経済学』を、手法を限定した上で他の分野にも適用したものと言えば分かりやすいでしょうか。平易で丁寧な説明と豊富な具体例、要領を得た各章のまとめ。実に分かりやすい。経済学的アプローチが完全に正しいとは思いませんが、この種の本がもっと世に出て企業の経営戦略や行政の施策を科学的に議論する動きが高まればと願います。2018/03/07
Book & Travel
53
データを使って提案や活動成果を説明する場面は会社でも多いが、根拠が曖昧だとその説得力が根元から崩れてしまう。本書はデータの有効な分析手法としてランダム化比較試験と、それが出来ない場合に使えるRDデザインやパネルデータ分析などについて述べられる。内容は感覚的にわかっているような基本的なことも多いが、具体例で分かりやすく説明されていて体系的に理解できたのが良かった。一般企業で使えるのは後者の手法だろうが、場面場面でうまく使うには経験とセンスも必要か。上級編も興味深く、関連本でもう少し掘り下げてみたいと思った。2018/01/16