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内容説明
経済学の古典の英知にふれて思考力・判断力・表現力をみがくこと.新古典派とケインズ派双方の理論を支える思想構造の差異を見究め,批判精神を培うこと.これから経済学を学ぶ人,学びなおす人に大切なのはこの二つだ.数学の僕と化した現在の経済学に警鐘をならす.ロングセラー『経済学とは何だろうか』の続篇的一冊.
目次
目 次
はしがき
第1章 文科大臣通知で「標的」にされた経済学
文部科学大臣通知の波紋/世界大学ランキング/日本の大学はなぜランキングが低いのか/人社系研究者の英語力向上が決め手/東アジア諸国の大学の躍進/猛威を振るう産業競争力会議/理系重視・文系軽視は日本の伝統/理工系万能の時代=1960年代/理工系出身者が幅を利かせる全体主義国家/stemからsteamへ/技術進歩の座標軸の変遷/人社知を欠く日本のエンジニア/日本経団連による文科大臣通知への反論/濡れ衣を着せられた経団連/国立大学という組織体の特殊性/学内民主主義と学部自治/少子化のもとでの大学経営/国立大学の理系学部は一目を置かれる存在/法学は有用の学そのものだ/経営学部生には専門職の道がある/見えにくい国立大学経済学部の存在意義/経済と経済学への尽きせぬ関心/理論経済学者が啓発書を著す/人文学と絶縁し「数学の僕」と化した経済学
第2章 戦後日本における経済学の栄枯盛衰
アダム・スミスのテーゼ/マルクスの経済学=空想より科学へ/ 『共産党宣言』から『資本論』へ/ケインズ経済学の思想を語る『自由放任の終焉』/ 『雇用・利子および貨幣の一般理論』の衝撃/マルクス経済学の栄枯盛衰/日本人と肌が合うケインズ経済学/ジャーナル・アカデミズムの悦楽/新古典派経済学の基本理念/新古典派経済学を実践したサッチャー英元首相/なぜ自由放任が復権したのか/構造改革なくして経済成長なし/ 「科学者」気取りの日本の経済学者/今の経済学者は過去の経済学者と今の実務家の奴隷/国立大学の法人化は「ソビエト化」だった/リーマンショックが新古典派を痛撃/死んだはずのケインズが生き返った/アベノミクスの正体/国家資本主義的統制経済/経済学の社会・時代文脈依存性=本章のまとめ
第3章 日本における経済学の歪んだ「制度化」
4年間の滞米経験がもたらした「発見」/合理的な愚か者/経済学は米大学生の必須科目に近い/科学の制度化/異端の経済学者ガルブレイス/ジャーナル・アカデミズムからの撤退/アメリカ経済学界での「出世」の極意/メジャーリーグもどきの「引き抜き合戦」/経済学の職業化と有用性の公認/マルクス経済学は教科書化に馴染まない/ 「社会主義の崩壊」がマルクス経済学を色褪せさせた/査読付き専門誌の虚実/エコノミストの職業集団は日本に存在しない/経済学に大盤振る舞いされる研究費/外的ショックを捨象する経済予測の心許なさ/ 「ラプラスの悪魔」は経済学の世界を横行闊歩/審議会に欠かせぬ経済学者委員/危なそうで危なくない学者委員の選び方/経済学の「有用性」とは
第4章 経済学を学ぶことの意味と意義
某経営コンサルタントの暴論/大学を「2つの山」に分ける/アメリカの大学新入生は入学してから「専攻」を決める/学校教育法の「大学」の定義はガラパゴス的ではない/エレクトロニクス機器の国際競争力低下/欧米そして中国では学力判定は全国統一テストに委ねる/共通一次試験導入という「失敗」/ 「真の学力」とは何か/大学生の思考力・判断力・表現力/経済学を学ぶことの意義/早熟の天才トマ・ピケティ/わずか2年でピケティが見限った「制度化」された経済学/ピケティに降参した米国の経済学者/1980年代以降の英米で急進展した不平等/ 「ユートピア熱」とは人文知と批判精神/モラル・サイエンスとしての経済学/ケインズがブルームズベリー・グループから学んだ人文知と批判精神/アトキンソンの『21世紀の不平等』/経済学者を三様に分類する/モラル・サイエンスとしての経済学のリバイバル/マスメディアで活躍する日本の経済学者/医師は不要になるかならないか/人工知能は経済学者・エコノミストを代替できるか/アメリカの大学の授業で使われる文献トップ100
あとがき
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