平凡社新書<br> 日本はなぜ脱原発できないのか

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平凡社新書
日本はなぜ脱原発できないのか

  • 著者名:小森敦司
  • 価格 ¥704(本体¥640)
  • 平凡社(2016/10発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784582858037

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内容説明

産官政学、そしてメディアが癒着した巨大利権「原子力村」。福島原発事故後も存続が図られ、復活が目論まれる。事故後の緻密な原発関連記事で知られる筆者が描く「ムラ」の実態。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

hatayan

44
朝日新聞の記者が「原子力ムラ」と呼ばれる産官学とメディアからなる原発推進の複合体に迫るルポ。青天井で経費がかかっても後戻りできない国の事情で強引に進められる核燃料サイクル、原発ゼロを支持する世論を逆撫でするように原発推進に回帰する自民党政権など。2020年に読んで目を見張ったのは、安倍政権の最側近の今井尚哉秘書官が経産省時代に原発推進の当事者だっただけでなく、叔父が元経団連会長で原子力産業協会会長の今井敬氏であったこと。全体を通して、原発が生む核のごみという負の遺産の処理を先送りにしていることを憂えます。2020/09/10

rico

35
再読。読了登録をしようとして、気づくという…(-_-;)感想は初読の際と大きく変わるものではないが、政官財学&メディアががっつり組んで推進している原発という大規模プロジェクトは、それによって利益を得ている人が国を動かしている限り、民意がどうあれ方向転換できなくなっているのかもしれない。原発の維持に注いできた人的・財務的資源の3分の1でも別の方向に使っていれば、この国の姿は全く違ったものになっていたのではないか。2019/03/19

coolflat

13
特に目新しい記述はない。参考になったのは、モンゴルの最終処分場に関して。モンゴルの最終処分場とは「日米が共同で、モンゴルに使用済み核燃料などの最終処分場を造る計画」の事だが、これは溜まりに溜まった日米の核廃棄物をモンゴルに最終処分する事ではない。この計画はいわゆる「包括的燃料サービス」の事で、例えば、日本がA国に原発を輸出する。そのA国にモンゴルがウラン燃料を輸出する。使用済み核燃料は再びモンゴルに戻す。ーという継続的なシステムの事だ。要はモンゴル起源のウランでなければ、モンゴルは核廃棄物を引き取らない。2016/09/28

skunk_c

11
朝日新聞の記者が自身の記事をまとめながら、所謂「原子力村」に迫る。あの未曾有の事故があっても解体できない実態を、経産省と電力会社、そして関連企業の巨大な利権構造から解き明かそうとする。そこに自社も含めたマスコミが絡め取られていく様子や、TCIA(東電のCIA)が反原発派の個人情報を収集するなど、背筋の寒くなる話が続く。さらに国内の原発を止めながら一方で海外輸出を進める民主党政権や、経産省若手職員が核燃料サイクルに反旗を翻したあと左遷されていく様子など、「大きすぎてつぶせない」核燃サイクルの恐ろしさも。2016/03/21

rico

9
積読の山から発掘。朝日新聞の記事を再編集したもの、ということで断片的な印象は否めないが、「官」だけでなく、産業界、さらにはマスコミや広告業界の事情などにも言及し、社会にがっちり組み込まれている「原子力村」の実相を伝える。事情通の知人からきいた、国が原発が安価で環境への響も少ないという計算方法を緻密に構築した結果、方針転ができなくってしまったという話を思い出した。異論を封じ、ひたすら再稼働を進める状況にはため息しか出ない。2017/09/03

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