内容説明
路地の奥に隠れ住む、超能力を持つ老人(「路地裏の天才」)、夜はナイトクラブの超人気ダンサーに変身する児童劇団所属の小学生(「名優キャット」)、穏やかに余生をたのしむ老紳士の密かな欲望(「生きる歓び」)……など“一見普通”の人々が隠し持つ、「もうひとつの顔」をテーマにした短篇集。軽快な語り口で、人生の苦さや怖さ、そして切なさを見事に描く、全5篇を収録。
目次
路地裏の天才
眠れ、よい子よ
名優キャット
気まぐれな犯罪者
生きる歓び
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
105
軽読みできる短編集。収録は路地裏の天才、名優キャット、生きる歓び、眠れ、よい子よ、気まぐれな犯罪者。路地裏の天才では、河田美智は、抜けられると言や抜けられるけど、抜けられないと言えば抜けられない路地に入っていく。2度目に読んだとき,はっとすることがあった。軽読みしていたときには気が付かなかった,赤川次郎の背景。赤川次郎の闇の一部が,薄く,静かに,広がっている。路地裏の天才は,やらせだった。主人公の誠実さが光る。名優キャットは秘書の一途なところが光,主人公の妖艶なところが煌めく。生きる歓びは後悔先にたたず。2013/06/18
coco夏ko10角
22
「もうひとつの顔」がテーマ、5つのお話収録の短編集。 『路地裏の天才』がよかった。 『名優キャット』にはその子のその様にドキッとした。2018/03/28
鍵ちゃん
11
路地裏の奥に隠れ住む超能力を持つ老人「路地裏の天才亅、夜はナイトクラブの超人気ダンサーに変身する児童劇団所属の小学生「名優キャット亅、穏やかに余生を楽しむ老紳士の密かな欲望「生きる歓び亅…など一見普通の人々が隠し持つ「もうひとつの顔亅をテーマにしな短篇集。軽快な語り口で、人生の苦しさや怖ろしさ、そして切なさを見事に描く。2021/02/01
*Azu*
10
やっぱり、赤川次郎さんは凄い。 すぐに話に引き込まれてしまう! 「路地裏の天才」・「眠れ、よい子よ」・「名優キャット」・「気まぐれな犯罪者」・「生きる歓び」の五編が収録されています。特に、「路地裏の天才」が好き。路地裏に住んでいる不思議な力を持ったお爺さんを巡る話です。彼に興味を持ち調べていく登場人物達も、彼の不思議な力に翻弄されていきます。その中で主人公が大切なことに気づいていくという、赤川次郎さんらしい作品です。心が温かくなり、作品の結末にちょっぴり驚かされる。アーモンド入りのチョコレートのようです。2013/03/07
青豆
9
一見普通の人が隠し持っている「もう1つの顔」を描いた短編集。登場人物の「もう1つの顔」が明らかになり、あっと驚く結末には読んでいてニヤリとさせられる。赤川次郎さんらしい軽妙なテンポの作品。2014/07/27