内容説明
華道教室に通うまりかの先生・嵯峨御流正教授である龍彦の趣味は、なんと怪談蒐集。最初は引き気味のまりかだったが、龍彦の優しげな雰囲気に惹かれ、怪談蒐集の手伝いをすることとなる。ある日まりかは、「おざぶ…おざぶ…」という声が聞こえる穴の噂を聞く。早速龍彦に報告しその穴を調べに行くが、そこで2人は、奇妙で恐るべき怪異に巻き込まれてしまう―。新たな怪談の旗手が描く、日常に潜む怪異の世界。連作短編集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
80
インパクトある不気味なタイトル。華道を習うまりかとその師範で怪談蒐集家の龍彦が遭遇する四つの怪異。タイトル作、穴の中から奇妙な言葉が…。アレを迂闊に言ってはいけない。「ひじり」も悪夢のような意味不明の怖ろしさ。アレには絶対関わってはいけない。「羊を何度も掘り出す話」竹藪での怪異。アレは妖怪のようなもの?神様のことは人にはわからない。どこか飄々としていて、ホラーもしっかり楽しめる好みの作品。京都弁が醸し出す作風も良かった。2022/10/31
HANA
79
短編集。怪談好きの華道の先生とその教え子が遭遇する数多の怪異。京都が舞台の怪談というと千年の澱が凝った濃厚な闇みたいなものを連想させるけど、本書は基本長岡京等周辺部が舞台なので、どちらかというと地方都市としての京都が前面に出た感じかな。あと表題作は別として残りの話、特に「トモダチ」と「ひじり」は起きた事だけがぽつんと置かれているようで、因も果も無いので読後非常に居心地が悪い。この感じ怪談独特だけど、小説でやられると宙ぶらりんになった感じが凄いな。著者の実話怪談好きだけど、この頃から親和性あったのだな。2020/11/04
モルク
77
表題作他4話からなる連作短編集。華道教室の先生で怪談蒐集家の龍彦と生徒のまりかが遭遇する怪異の世界を描く。日常的なことから、好奇心によってつい陥ってしまう世界、口にしてはいけない忌み言葉など、次々と怪異に巻き込まれる。それも、それぞれの話が決して解決している訳ではない。また、いつ陥るかもしれない恐怖が残る。どれも、余韻の残る怖さが…不気味2018/08/19
machi☺︎︎゛
71
なんなんだろ。ホラー?ではなくて、不思議な怖さかな。モヤモヤしたまま終わってるような、そうでないような。表紙が1番怖かった! 2018/10/18
眠る山猫屋
48
再読。不合理・不気味な事にこそ、怪異は生まれる。この連作の続きは読めないのかなぁ。再読してみて、今回は『トモダチ』が怖く感じた。待ち合わせをする友人たちの通話に介入してくる謎の声。気づくと異世界にスライドさせられていて・・・。嫌~な空気が上手な作家さんだ。2019/12/04