内容説明
昭和天皇崩御の「Xデイ」はいつ訪れるのか。その報道の最前線にいる記者・楠陽に関係者が衝撃のひと言を洩らした。「陛下は吐血。洗面器一杯くらい」。その時、現場で何が起こっていたのか。そして新元号を「平成」に決めた、政府の知られざる思惑とは。著者自身の記者時代の経験を源に、圧倒的なリアリティーと臨場感で紡ぎ出す傑作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
それいゆ
51
何故小説なんでしょうか?青山さんの文章は、ドキュメンタリーだからこそ生き生きとしているのであって、小説にしてしまうと読みにくくて、急につまらなくなってしまいました。こんな風に感じたのは私だけなんでしょうか?2016/10/29
thee birdmen
31
87年から88年にかけて、僕はまだ幼稚園児で無邪気に友達とトランポリンの上を飛び跳ねていた頃だと思う。だからほとんど記憶にないけれど、小渕のおじさんが誇らしげに掲げた「平成」の文字は強烈に印象に残っています。あれから28年、今上陛下がお気持ちを表明しました。このタイミングでこの本が出たことは偶然なんでしょうか。皇室典範改正はもちろん、新しい元号の選定など、これからの数年は様々な議論が起こるでしょう。当時と同様水面下ではもうとっくに出来上がっているのかもしれません。歴史の節目に生きているんだと実感しました。2016/09/11
to boy
28
昭和天皇崩御時のマスコミの動向が生々しく描かれています。えっ、女性記者って今でもそんなことさせられるのかって、どこまで本当なのか驚きです。他社より少しでも早く報道することがそれほど大切なことなのか、そんな事に全精力を使い果たしているジャーナリストって情けない気がしてきました。2016/10/08
あんこ
23
昭和から平成になる時、今思うと異常なマスコミの取材合戦があった。まさにその戦場にいた記者が、自分の体験を元に小説化した本。正直、文章は読みづらい。しかしフィクションとはいえ、取材に関するリアリティーと熱量にひっぱられて、いつの間にか入り込んでた。次の元号はもう議論されてるんだろうな。2016/10/07
チャーリー
18
昭和の終わり、新しい元号(平成)が何になるのかいち早く知り、報道するミッションを受けた通信社の政治部記者のお話。 どこまでがフィクションなのか全く分からないほどリアルな描写でグイグイ引き込まれて、あっという間に読み終えてしまった。 この平成ももうすぐ終わり。 今も記者の方達が命を削って、次の元号が何になるか駆けずり回っているのだろうか? 時代と、実体験をベースにした内容が「ボクたちはみんな大人になれなかった」に近い気もするけど、共感レベルはこちらの方が遥かに高い。 2018/02/22