内容説明
パスカルが「0から4を引けば0である」と述べた頃,インドでは「負数に負数を掛けると正数を得ることは羊飼いでも知っている」と書かれた.文化や時代によって数の捉え方は異なり,現代数学でも定義の仕方は単一でなく,いろいろなスタイルがある.数概念の発展を見ることで,数学とは何かという大きな問いへの答えに迫る.
目次
目 次
まえがき
1 数概念の起源
1 基 数
2 量
3 負 数
4 複 素 数
2 現代における数体系
1 自然数の素朴な定義
2 公理・公準で規定する方法
3 集合論を使う方法
4 論理的に定義する方法
5 その他の数
3 数学とは何か
1 「聖」 と 「俗」
2 純粋数学の成立
3 数学者は本当に聖なる種族か?
4 群の場合で考える
5 完全性定理──聖と俗をつなぐ
6 歴史メモ
付 録 現代における数体系(補足)
1 実 数 体
2 連 続 性
3 自然数・整数・有理数
4 複素数体
問題略解
参考文献
注
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
calaf
14
「数」は人間の発明品!数学の中の数学(?)である数学基礎論の立場から、数を見直した本...らしい...概要は理解できるのですが、ちょっと今の私にはレベルが高すぎます (^_^;;;2014/02/20
びすけっと
6
2013年12月刊。遠征先図書館で発見。自然数、整数、実数、有理数、複素数以前に数とは何か、どのような位置づけをして定義するのかをひもときます。ですから、自然数、整数・・・の概念を読み進めるよりももっと難しい。演算すら丁寧に定義し証明していくのですから。西洋で負数が認められなかった時代に、インドではすでに負数は人々の手中にあった。ますます学生時代に読んだ「零の発見」を再読したくなります。学生のときに頭がこんがらがったことを思い出す旅を続けている気がします。集合論もおもしろいですよ~2015/07/31
maqiso
3
古代ギリシャから近代ヨーロッパでは個数を数の本質だとしたため負数や虚数の定着が遅れたが、中国やインドでは方向や商取引から負数を自然なものと見ていた。現代数学では集合論などから自然数の全体を定義し、整数、有理数、実数と拡張し、複素数で終わる。数学史と定義や証明が両方あって面白いが難しい。2022/01/11
makio37
2
本書では「自然数とは何か」に多くの紙数を割いている。「0を含まない、1,2,3…」というこれまでの私の理解が如何に粗雑なものであったのかが分かった。「1={0}=0U{0}」と「デデキント無限」の2つが私にとって大きな発見だ。「発見」と書いたが本書の主題は、数体系とは森羅万象を貫く永遠不変の真理を人類が「発見」したものではなく、人類が人類の言語をもとに独自に「発明」した創造物だ、ということである。単純で自明なことばかりのように見えながら全く歯が立たない部分も多く、悔しい読書でもあった。2014/06/15
massn
1
こういうさらっと「気持ち」を書いてくれる本はもっとあっていいな。2023/02/07