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内容説明
今、機械は人間にしかできなかった領域に進出し、ときには人間を凌駕する働きを見せています。いったいどこからが人間でどこからが機械なのか、そもそも人間とは何なのか。小説家・海猫沢めろんが最新テクノロジーを7人の科学者に取材。cakesで連載された科学ルポを書籍化。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
65
創作の話を聞かなかったこの作家がルポを書いているとはと驚き借りる。2014年ごろからの六人の日本の最新技術の第一人者に話を聞いていく。SR(代替現実)、3Dプリンタ、アンドロイド、AI、ヒューマンビッグデータ、BMI(脳波マシンインターフェイス)、幸福学。 アンドロイドの石黒浩のキャラに驚く。常識を覆す身の蓋もないことを普通に語る彼らに唖然とする。慄然としながら軽く語られる事象に驚きつつ読み進める。前野隆司『受動意識仮設』80年代のリベットの実験結果、意識は行動の0.5秒後に発生する…… 自由意志って……2017/06/23
ゆみ
27
人工知能に怯える人は結局、「誰にでもできる仕事しかしていない」という言葉。そうなんだ、そうだ。わかる、わかりますよ。私めっちゃ怯えてますもの。でも、気の合うロボットに出会えて、コンビ組めたりしたら仕事も生活も楽しいかもしれないと思わせてくれました。ただ、完全に操られてるのは私、なんだけど。「大丈夫ですか?」「覚えてますか?」とか「最初から説明します」とか・・完全に介護支援だね、トホホ(/_;)2017/02/25
Tui
25
刺激的で、かつ気持ちのいい読書だった。機械とは?人とは?その答えを探しに、最先端の研究者と重ねた対談。そこで語られる言葉は、とても不思議な味わいだ。テクノロジーの話が、次第に宗教や哲学の風味を帯びてくる。おのずと「では人とは?」という根源的な問いに向かうのだが、その探求から明らかになってくるのは、人の唯一絶対性ではない。逆だ。機械と人との境界線が曖昧になるばかりなのだ。この二つ、私たちが思っている以上に相性がいいのかもしれない。語られる言葉に心をぶん回されっぱなし。何かに悩んだときに読むと、効きます。2017/02/28
*
20
「機械が人間になる?」という入り口から、「人間って機械じゃん!」という出口に辿り着く...と受け取っても過言ではない、示唆に富む本。著者をはじめ「自分は心が希薄だ」という人たちも出てくるが、それこそ本能が生き残るためにプログラミングした「特殊な自意識」かもしれない▼「バイオエレクトロニック医学」が発展すれば、自分の心身の不調をコントロールできるようになる、具体的に言えば、自分の鬱を自分で治せたりもする!?という見識は面白かった。2018/07/05
こまり
19
機械(アンドロイド、AIなど)と人間との境界がなくなってきているということに驚いた。7人の科学者との対談形式で、とても解りやすく書いてある。自分のアンドロイドを作った石黒さんは、人に心はなく人は互いに心を持っていると信じているだけであると言う。又他の科学者は、意識は存在しない。それは幻想にすぎず、自由意思も存在しない。人が感じる幸せにはパターンがあり、それを自覚しうまくコントロールすれば楽に生きられる。科学を追求していくと、最後には幸福学や世界平和研究になっていく、という。とても面白い本だった。2020/10/19