内容説明
戦国時代末期。越中の佐々成政は、天下取り寸前の秀吉の野望を挫くため、孤軍奮闘していた。八方ふさがりの中、成政は、秀吉に対する徹底抗戦を家康に懇願しようと決意。敵地を避けて家康に会うには、厳冬期の飛騨山脈を越える必要があった。何度でも負けてやる――天下ではなく己の目前の道を見据えた、愚直な戦国武将。その悲哀と苦悩、誇り高き生き様を描いた本格歴史小説。第21回中山義秀文学賞受賞作。解説・末國善己
感想・レビュー
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はたっぴ
72
戦国時代の実話として興味深い「佐々成政の飛騨山脈越え」を取り上げ、昨年、中山義秀文学賞を受賞した作品。私の大好きな“戦国もの+登山”が題材となっていて即読みしたが、当時の冬登山の壮絶な場面に想像力を掻き立てられ一気読みだった。武将達の駆け引きもあり、危険な山越えをしてまで会いに行った家康との対面や、成政が大嫌いな秀吉との対面シーンでは、人間の思考の複雑さにドキッとしたり、人の情けにほろっとして心を揺さぶられた。まるで会社生活での心得が描かれているようで、生きることの道理を再認識する読書だった。2016/04/25
のりあき
15
佐々成政の北アルプス越えを主題とした時代小説。戦国末期、越中の武将佐々成政は、敵対勢力の目を盗み、真冬の北アルプス越えを敢行する。最大の難所は"沙羅沙羅峠"。目指すは府中の徳川家康。時代小説プラス山岳小説の新感覚。この作品では、前田利家、徳川家康、豊臣秀吉たち戦国大名たちが優しく描写されているような気がします。しかし、この作品は戦国大名たちの権謀術数がテーマではなく、ラストの回想シーンに描かれる光景こそがそうなのだろうと思います。2016/05/14
ウィズ
13
傑作だけど、主人公の悲しい末路を知っているので、何か読了後一抹の虚しさが自分の心を支配しました。2016/05/12
じじちょん
4
戦国武将が冬の立山連峰を登山し、家康と交渉に臨むという話。隠密の諜報活動や愛妾との悲恋が少々の娯楽性を感じるが、冬山登山の描写と心理描写が熱い。 こういう時代小説は珍しいと思った。2019/03/09
誰かのプリン
3
読みやすくすらすら読めたけど、帰りは別ルートを通って帰ったことになっており、史実と違い残念だった。2016/07/09