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内容説明
地動説を唱え,宗教裁判で有罪を宣告されたガリレオ.彼は本当に,科学者として宗教と闘った英雄だったのか.二一世紀に入り,新たな裁判記録がヴァチカンの秘密文書庫から明るみに出された.近代へと世界観が大きく変貌していく中で,裁判の曲折した進行の真実が浮かび上がる.ガリレオ裁判の見方を根底から変える決定版.
目次
目 次
はじめに
第一章 ガリレオを愛したナポレオン
第二章 宗教裁判
第三章 天文観測による発見──興奮と忍び寄る危機
第四章 序 幕──一六一六年の宗教裁判
第五章 『天文対話』
第六章 裁判の開始
第七章 第一回審問──一六三三年四月一二日
第八章 第二回審問──四月三〇日
第九章 第三回審問──五月一〇日
第一〇章 判 決
第一一章 「それでも地球は動いている」
おわりに
主要登場人物
あとがき
主要参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
リキヨシオ
28
「太陽が中心で地球はその周りを回っている」という地動説を唱えたガリレオは1633年ローマ教会に異端として宗教裁判にかけられた。今では世間の常識の「地動説」が当時は有罪とされて後に誤審、冤罪と言われたガリレオ裁判がどのような経緯で行われたのか…長く歴史の闇に葬られた真実に迫った1冊。天動説が正しいと考えられ世の中、ガリレオが地動説を確信するにつれ聖書との矛盾が生じることになる。ガリレオ側もローマ教会側もキリスト教を信仰するという点とキリスト教の将来を憂いている事は一致していたという。2016/05/26
akihiko810/アカウント移行中
23
地動説を推奨したガリレオ・ガリレイの、宗教裁判についての本。 今月の読書会のテーマは科学。『チ。-地球の運動について-』という地動説を巡る漫画(完全なフィクション)を読んで、史実の地動説と宗教の対立がどうだったのかを調べるために読んだ。ガリレオ裁判本3冊目。これが一番詳しかった。 ガリレオも、政局を誤ったんだな、という感想。数々の観測発見により、地動説を確信するが、聖書に反していると攻撃される中、自分の支援者がローマ教皇になったから大丈夫だろうと、「天文対話」を出版したのが火種に。2022/08/16
Kazehikanai
21
地球は不動とする聖書の記述に真っ向から立ち向かい、「それでも地球は動く」の名言を残したという英雄像はまったくのデタラメだった。実際のガリレオの宗教裁判における振る舞いや興味深い宗教裁判の実態、教皇庁の力学から、真のガリレオが現れる。地動説をめぐり宗教と科学が対立したもっとも微妙な時期にいたことが、彼の生涯に甚大な影響を及ぼしたとしても、悲運の生涯というよりも、後に英雄扱いされる幸運にあったと言ったほうがよさそうだ。もっとも、ガリレオが後世に祀り上げられた英雄であったとしても、それでも地球は動いている。2016/07/02
ジュンジュン
12
ガリレオを特別な存在にしたのは、たぶんこの宗教裁判だろう。近年閲覧可能となったヴァチカンの文献も活用しながら、そのガリレオ裁判を復元する。まず、ここまで分かるのかと、過程の詳細さに驚く。そして、「命令違反」一点を衝かれて有罪となるが、当時、科学が神学や哲学の下風に立つ以上、"宗教"裁判では勝ち目はなかっただろう。2021/02/05
skunk_c
11
ガリレオと裁判と言えば「それでも地球は回っている」が有名だが、どうやらこの言葉は後世のねつ造らしい。ガリレオが裁かれたのは、その地動説そのものというより、それをを信じたり教えたりしてはならないというローマ教会の命令違反によるという。教会側は秩序の崩壊を恐れ、一方ガリレオはローマ教会の有力者と親交のある敬虔なカトリックであり、その信仰と科学的真理探究との折り合いをどう付けるかで大いに苦心した模様。教会からの異端誓絶は受け入れても、一度も自らの説を明確に否定してはいない。散逸・欠落した史料から読み解く面白さ。2015/12/16