内容説明
上海大学のユアンは、国家科学技術局から召喚の連絡を受けた。「ノックスの十戒」をテーマにした彼の論文で確認したいことがあるというのだ。科学技術局に出向いたユアンは、そこで予想外の提案を持ちかけられる。
※本電子書籍は、紙書籍『ノックス・マシン』から「ノックス・マシン」「引き立て役倶楽部の陰謀」「論理蒸発―ノックス・マシン2」の3篇を収録し、電子版オリジナルコンテンツ【「引き立て役倶楽部の陰謀」の主な登場人物たち】を収録した電子オリジナル版です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
るーしあ
160
科学用語のほぼ全てが理解不能。それでも大筋の内容は把握できる。ノックスの十戒の中でも中国人の件は有名。「ノックス・マシン」のオチは安易に想像できるが、そこから「論理蒸発」まで繋げたのはさすが。クリスティの有名どころは読んでいたため「引き立て役倶楽部の陰謀」は終始ニヤニヤしっぱなしだった。個人的には楽しめた作品。しかしこの作品はやはりミステリーマニア向けの作品。万人には薦められない。ある程度のミステリーの前知識が必要。この作品を読了後、ミステリーへの興味は尽きない。しかしSFのジャンルからは遠のきそうだ。2016/01/06
おかむー
101
2014年の「このミス」一位だそうですが、一般読者向けとは言いがたいですな。海外探偵小説と量子論とブラックホール理論あたりの軽いヲタクレベルの知識がないと理解は難しい。『可もなし不可もなし』。表題作は「卵が先か?鶏が先か?」のタイムパラドックス。『引き立て役倶楽部の陰謀』名探偵の相棒役が一堂に会するメタ的展開。『バベルの牢獄』難解さがダントツ、全体としておぼろげなイメージだけしか残らない。『ノックス・マシン2』表題作の続篇だが主題は別物。『引き立て役~』以外は“データ化された書物”が大きなポイントですね。2016/06/05
hnzwd
70
ミステリ作家 法月綸太郎のSF短編集。一編ごとも緩い繋がりを持つ連作に。すべての本が電子化された近未来を舞台に、エラリークイーンやアガサクリスティ、チェスタトンなど、古典名作をキーワードとして進んで行く話が面白い。SF要素は、、量子もつれ、量子コンピュータ、特異点、ブラックホールとか、近年のSFを多少読んでれば判るネタでしたが、、、古典の方は知識が足りなさ過ぎて、ネタと判らないものもチラホラ。あとがき・解説を読んでなるほどねー、という感じでした。国名シリーズ読み直しかなー。。2015/12/04
森オサム
66
このミステリーがすごい!で1位、週刊文春ミステリーベスト10で3位、ミステリが読みたい!で1位、本格ミステリ・ベスト10で4位。何故こんなにミステリーとして評価されるのか分からない。理科が苦手な私は、読むのが苦痛で2週間かかった。ただ、「引き立て役倶楽部の陰謀」だけはすごく面白かったです。ヴァン・ダインは嫌な奴で、ヘイスティングズは愚直な男、なんかそんなイメージあるもんな。ワトソンファンは怒って良し(笑)。2016/09/29
HANA
58
ミステリを題材にしたSF短編集。このミス一位ってことで確かにミステリ愛に溢れているんだけど、マニアのためのもので初心者お断りのような。ランキングで間口が狭まるのはどうかとも思う。表題作とその続編はSF用語や現代物理学に暗い為、肝心の理論がよくわからずどうも楽しめなかった。「引き立て役倶楽部の陰謀」はワトソン役に関するパロディ。楽しめたけどこれも知識がないと何が何やらわからないような。名探偵自体ならともかくワトソン役の名前、意外と憶えていないものだなあ。とりあえず読み終えて古典ミステリが読みたくなってきた。2016/04/13