岩波現代文庫<br> 世界史の構造

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岩波現代文庫
世界史の構造

  • 著者名:柄谷行人
  • 価格 ¥1,496(本体¥1,360)
  • 岩波書店(2015/12発売)
  • ポイント 13pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784006003234

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内容説明

資本=ネーション=国家が世界を覆い尽くした現在,私たちはどんな未来も構想し得ないでいる.しかし本書は,世界史を交換様式の観点から根本的にとらえ直し,人類社会の秘められた次元を浮かび上がらせることで,私たちの前に未来に対する想像力と実践の領域を切り開いて見せた.英語版に基づいて改訂した決定版.

目次

目  次
   序  文

 序説 交換様式論
   1 マルクスのヘーゲル批判/2 交換様式のタイプ/3 権力のタイプ/4 交通概念/5 人間と自然の「交換」/6 社会構成体の歴史/7 近代世界システム
 第一部 ミニ世界システム
  序論 氏族社会への移行
  第一章 定住革命
   1 共同寄託と互酬/2 交易と戦争/3 成層化/4 定住革命/5 社会契約/6 贈与の義務
  第二章 贈与と呪術
   1 贈与の力/2 呪術と互酬/3 移行の問題
 第二部 世界=帝国
  序論 国家の起源
  第一章 国 家
   1 原都市=国家/2 交換と社会契約/3 国家の起源/4 共同体=国家/5 アジア的国家と農業共同体/6 官僚制
  第二章 世界貨幣
   1 国家と貨幣/2 商品世界の社会契約/3 『リヴァイアサン』と『資本論』/4 世界貨幣/5 貨幣の資本への転化/6 資本と国家
  第三章 世界帝国
   1 アジア的専制国家と帝国/2 周辺と亜周辺/3 ギリシア/4 ローマ/5 封建制
  第四章 普遍宗教
   1 呪術から宗教へ/2 帝国と一神教/3 模範的預言者/4 倫理的預言者/5 神の力/6 キリスト教/7 異端と千年王国/8 イスラム教・仏教・道教
 第三部 近代世界システム
  序論 世界=帝国と世界=経済
  第一章 近代国家
   1 絶対主義王権/2 国家と政府/3 国家と資本/4 マルクスの国家論/5 近代官僚制
  第二章 産業資本
   1 商人資本と産業資本/2 労働力商品/3 産業資本の自己増殖/4 産業資本主義の起源/5 貨幣の商品化/6 労働力の商品化/7 産業資本主義の限界/8 世界経済
  第三章 ネーション
   1 ネーションの形成/2 共同体の代補/3 想像力の地位/4 道徳感情と美学/5 国家の美学化/6 ネーション=ステートと帝国主義
  第四章 アソシエーショニズム
   1 宗教批判/2 社会主義と国家主義/3 経済革命と政治革命/4 労働組合と協同組合/5 株式会社と国有化/6 世界同時革命/7 永続革命と段階の「飛び越え」/8 ファシズムの問題/9 福祉国家主義
 第四部 現在と未来
  第一章 世界資本主義の段階と反復
   1 資本主義の歴史的段階/2 資本と国家における反復/3 一九九〇年以後/4 資本の帝国/5 つぎのヘゲモニー国家
  第二章 世界共和国へ
   1 資本への対抗運動/2 国家への対抗運動/3 カントの「永遠平和」/4 カントとヘーゲル/5 贈与による永遠平和/6 世界システムとしての諸国家連邦
   あとがき
   岩波現代文庫版あとがき
   注

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

すしな

48
033-23.ぶっちゃけ哲学の研究が、学問以外でどのように実社会や実業で適用できるのかよくわからなかったのですが、今までの人類の歴史の節目節目で哲学がどのように社会のシステムに影響を与えてきたのかがわかる内容でした。封建主義から帝国主義、共産主義とか社会主義とかも、よく聞く言葉の割に、説明するのは難しいですが、背景が見えたので理解できたような気がします。2023/03/04

壱萬弐仟縁

39
2010年初出。贈与の力:互酬交換は制度化される。共同体が課す義務となっているが、他の共同体では昨日しない(78頁)。贈与の互酬で新たな共同性を創り出し且つそれを更新する過程を見ようとすれば、贈与の力を無視できないと、モースは問うたという(79頁)。周辺と亜周辺:亜周辺は、周辺部の外にあるが、圏外ではない。周辺のように中核文明と直接しないが、疎遠ほどではない。亜周辺は中核文明制度を選択的に受容できた(174-5頁)。2015/11/13

masabi

24
世界史を交換様式から読み解く。贈与,支配と保護,商品交換,高次の贈与が交換様式の4類型。高次の贈与は資本主義を越える鍵となり,この類型が世界規模で起こったときこそ国家は止揚され,敵意のない完全な平和が実現される。そのためには軍事的主権を国連に譲り渡すことがきっかけに,戦争を通じてその動きはさらに加速する。戦争とその反省から国連を強化し,ついには諸国家連邦を形成,平和の実現をもたらす。2015/04/02

fseigojp

23
初版にだいぶ追加され定本化 電子版もでてきた2017/03/28

浅香山三郎

18
500頁を超ヘる本なので、読了に時間がかかつたが、『トランスクリティーク』程難しいとは感じなかつた。多分、『世界共和国へ』(岩波新書)を先に読んでゐたことと、マルクスを踏まへての話なので、まだついて行けたといふところがあるのだらう。4つの交換様式から世界史の腑分けを行う手捌きはさすがといふべきで、諸理論を援用しながら、様々な国家や社会のありやうをどの交換様式が主要な力をもつのかによつて振り分けていく。なかなか説得的であるが、それゆへに第4部第2章の展望の意味内容はよくよく再読したいと思ふ。2021/02/25

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