岩波新書<br> 右傾化する日本政治

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岩波新書
右傾化する日本政治

  • 著者名:中野晃一
  • 価格 ¥858(本体¥780)
  • 岩波書店(2015/10発売)
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  • ISBN:9784004315537

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内容説明

日本は右傾化しているのか,それとも「普通の国」になろうとしているだけなのか.いったい,どちらなのか?――政治主導のもと,寄せては返す波のように時間をかけて,日本社会の座標軸は右へ右へと推し進められていった.そのプロセスを丹念にたどりつつ,新しい右派連合とその「勝利」に直面した私たちの現在を描き出す.

目次

目  次

 序 章 自由化の果てに
  1 現在を生んだ新右派転換
   日本政治は「右傾化」したのか/寄せては返す新右派転換の「波」/世界のなかの新右派転換/日本の新右派連合(一)──新自由主義/日本の新右派連合(二)──国家主義
  2 なぜ「反自由の政治」へ向かったのか
   新右派連合をつなぐのは/さまざまな自由主義/新右派連合の変容
 第一章 五五年体制とは何だったのか──旧右派連合の政治
  1 二つの歯車──開発主義と恩顧主義
   世界的な「国民政党」の時代のなかの五五年体制/吉田ドクトリンと旧右派連合の形成/旧右派連合とは(一)──開発主義/旧右派連合とは(二)──恩顧主義/旧右派連合の保守性
  2 革新勢力──「三分の一」の役割と限界
   冷戦のなかの保革対立/革新自治体と伯仲国会/中道の成立と保革対立構図の揺らぎ
  3 なぜ旧右派連合は破綻したのか
   成功の代償/旧右派連合の「コスト」/自由化と包括性
 第二章 冷戦の終わり──新右派転換へ
  1 新自由主義の時代へ
   冷戦末期の国際政治経済/国際協調主義の展開/ 「ツケの政治」からの脱却/中曽根個人の復古的な国家主義/日米安保のなかの自衛力増強/新自由主義改革の幕開け/ 「大統領型」の政治手法と行政改革/民営化と労働組合再編/守勢に立たされた革新勢力/新自由主義化する都市中間層/旧右派連合への揺り戻し
  2 自由化・多様化する日本政治
   一党優位制の終わりの始まり/激動の一九八九年/ 「山が動いた」/複数政党制のなかの代替政権党づくりという難題/冷戦の終焉と国際協調主義の変化/新右派転換の旗手としての小沢一郎/ 『日本改造計画』/国連を中心とした「積極的・能動的平和主義」の提唱/百花繚乱の自由主義的改革論議/細川連立内閣と新右派転換
  3 国家主義──新右派連合を支えるもう一つの柱
   限定的な揺り戻しとしての自社さ政権/国際協調主義の最後の輝きとしての村山談話/橋本龍太郎への政権禅譲と新右派転換の再開/橋本行革/日米同盟の強化と国際協調主義のかげり/歴史修正主義バックラッシュの始まり/揺り戻しとしての一九九八年参議院選挙/ 「真空総理」小渕と「ゆ党」民主党/自自公連立から自公連立へ/世代交代と保守本流の分裂
 第三章 「自由」と「民主」の危機──新右派連合の勝利
  1 小泉政権──「政治の新自由主義化」の時代
   パフォーマンスの政治へ/新右派転換の蓄積/聖域なき構造改革と郵政民営化改革/靖国参拝、排外主義、ジェンダー・バックラッシュ/同時多発テロと対米追随/民由合併──オルタナティブ形成への険しい道
  2 安倍政権──そして「反自由の政治」が現出した
   ポスト冷戦時代の復古的国家主義プリンス/グローバル化時代の国家主義の特性/二〇〇七年参議院選挙に始まった揺り戻し/民主党による「政権党交代」とその崩壊/ 「日本を、取り戻す。」/民主党の総崩れの帰結/衛星政党の誕生と「反自由の政治」
  3 寡頭支配時代へ──立憲主義破壊の企て
   新右派転換の終着点としての寡頭(少数派)支配/メディア統制とアベノミクス/立憲主義破壊の企てと特定秘密保護法/集団的自衛権──対米追随の寡頭制下の「安全保障」/復古的国家主義の暴走と海外展開/新右派連合の勝利と変質
  4 日本政治は右傾化したのか
   グローバルな寡頭支配の拡散/雇用劣化と格差社会/国家権力の集中強化と反自由の政治/戦争のできる国へ/歴史修正主義と排外主義/ 「まだ改革が足りない」か
 終 章 オルタナティブは可能か
  1 民主党の成功と挫折
   結実したかに見えた「政治の自由化」/民衆なき「民主革命」/自由主義政党/パンケーキ政党/未完の「政権党交代」/民主党の分裂と崩壊
  2 「リベラル左派連合」再生の条件
   とめどない右傾化の危機/小選挙区制の廃止/新自由主義との訣別/同一性にもとづく団結から他者性を前提とした連帯へ
   あとがき
   参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

金吾

22
マスコミとかでもてはやされる一つの見方が書かれています。書いていることはわかりやすいですが、何故そういう考えが成り立つのかの論理性は無いのがやや残念でした。2021/01/24

ヘビメタおやじ

22
安倍政権の強引さばかり目についていましたが、本書によってじわじわと右傾化してきたことを知らされ、いっそう恐ろしくなりました。新自由主義と国家主義が同時に進むのは、どちらも寡頭支配を目指すからなんですね。納得しました。そして、改憲に改めて反対の決意をしました。2017/08/10

coolflat

21
日本政治の右傾化は安倍の登場で突然始まったものではなく、そのプロセスは過去30年ほどの長いタイムスパンで展開してきた。著者はそれを支点が右にずれていく振り子に例えている。振り子が右に振れる時、支点も一緒に右に動き、やがて振り子は左に振れるが、前の周期の左端までには戻らず、もっと右の位置で留まる。中曽根→自民過半数割れ→小沢→自社さ→橋本→自民過半数割れ→小泉・安倍→民主党→安倍と、右派政権が失敗した後、左への限定的な揺り戻し、或いは小休止が来るが、次に右にふれた時、日本政治はより右傾化しているという具合だ2016/01/18

ゆう。

21
日本の政治の右傾化(新自由主義と国家主義)がどのようにして進んできたのか、歴史的に考察した本です。今の安倍晋三の政治を考察するうえでも参考になる書でした。また、右傾化に対抗する政治勢力が成熟しなかったことも述べられていました。著者は、今日の右傾化に対抗する政治勢力を見いだせないでいます。様々な市民運動には期待は寄せていますが、そうした運動と政治との関係が著者の中でも模索しているのかもしれません。そのため、少々展望が見いだせにくい本でもありました。でも、丹念に右傾化した政治を分析しており、勉強になりました。2015/08/20

Melon Matsuda

16
某書店民主主義フェアで外された本こそ今読む本。中野さんは喋りはわかるが本になると学者先生で難しい、一読で理解出来ない、何度も読む。世界、日本の政治の流れが書いてある。格差を認める新自由主義はない。問題は山のようにあるが、改憲が迫り自民党の草案が現憲法の真逆で、真っ先にやろうとしてる緊急事態要項さえ通れば憲法ないものなので次の選挙で自民党倒すと真剣に思う。マスコミが騒ぐべきだけど日本のジャーナリズム死んでるから。投票率の低さが民主主義と言えないので選挙に行く初歩から始めねば。歴史修正主義者は戦争したいんだ。2015/12/03

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