内容説明
ぼんぼん盆の16日に地獄の釜の蓋があく…。夭折の天才女流作家、樋口一葉の19歳から死後2年目まで、それぞれの盆の16日に巡り来た運命は――。幽界(あのよ)と明界(このよ)にまたがる卓抜な仕掛けと会話で綴る樋口一葉像。没落士族の女家長・樋口夏子が、いかにして家族のために闘い、生き抜き、作家・一葉となって奇跡のような名作を生み出したのか。井上ひさしがユーモアをちりばめて描く、明治という激動の時代を駆け抜けた一人の女性の短くも美しい人生。再演のたびに新たな感動を呼び起こす傑作戯曲。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mawaji
7
年末に大つごもりを読んで困窮作家のイメージのある樋口一葉の人となりを知りたくなり伝記でも読もうかと思ったところこの本のタイトルが頭に浮かび手に取りました。夏子19歳から死後2年までの毎年お盆の逢魔が時の場面設定は「父と暮せば」を思い起こさせます。世間という因縁の糸でできた大きな大きな網から逃れようと死の世界へ心を移して生きていた一葉の人生がやさしく、ふかく、ゆかいでまじめに描かれているように思いました。詳しい伝記を読まなくてもこの一冊でだいたい様子がわかるような気がします。舞台もぜひ見てみたくなりました。2018/01/12
法水
3
大千穐楽鑑賞後に読了。台詞が聞き取りづらかったので、観る前に読んでおけばよかったな。2022/09/21
moyin
2
一葉より、幽霊たちのほうが生き生きしている。ラストはクライマックス感が無くて残念。2020/08/10
そいちろ
1
この世なんて因縁の糸で複雑だ。苦しいだけだ。でも井上さんの戯曲は苦しい中生きている人たちが素敵で面白い。死んでからも面白い。2013/07/30