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内容説明
タックス・ヘイブン、秘密口座・・・。グロ-バル企業や富裕層の巧妙な税金逃れは貧富の差を拡大し、今や国家の存立を脅かす規模にまでに至った。その巧妙な手口とは? 対抗策はあるのか? 地球を股に掛けた大規模な「税金逃れ」の手口を分析するとともに、公正な税の在り方とは、そして公正な社会の在り方とは何かを考える。(講談社現代新書)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
異世界西郷さん
17
なんというか、これほどまでに「なるほど、分からん! 」と頭を抱えた本は久しぶりです。まず、前半の税の説明のところでつまづきました。そして、後半のタックス・ヘイブンの説明で考えるのをやめました(泣)。ただ、世界各国が富裕層への課税に腐心していること、そしてタックス・ヘイブンを行っている側はあの手この手で税金逃れを行っているのは問題であると感じました。そのいたちごっこの犠牲になるのは結局のところ我々庶民なのですから……。今現在、徐々に国際的な課税の取り組みが行われ始めているようなので注視していきたいです。2016/06/06
Francis
9
富裕層や、グローバル企業がどの様にして税金を逃れているのか、その仕組みを明らかにしている。IT技術が進んで、国境を越えたお金のやり取りが当たり前になっているのに、税制は一昔前の仕組みのままなのが原因の一つ。そして先進諸国が大企業からのトリクルダウン効果を当てにして大企業を優遇する税制を進めたことももう一つの理由の一つとして挙げられる、しかし、そのために国家運営に不可欠な税収が不足し、富裕層と一般人の格差がますます拡がっている。国際的課税組織の確立など、一刻も早い対策が必要だと思う。2016/08/27
paluko
5
経済を学ぶ9冊め、2015年刊。本書で税金逃れを実行しているとして名前の挙がっている企業。スターバックス、Apple(11頁)、IKEA(65頁)、HOYA、ベネッセ、サンスター(70頁)、Google、マイクロソフト(98頁)、アドビ(146頁)。「減税に関する新自由主義政策の理論的拝見のひとつに、トリクル・ダウン理論と呼ばれる考え方がある。理論という言い方をされるが、実際にその理論を裏付ける実証研究はない。したがって、一種の経済的信条と言うべきものだ」(72頁)。2020/09/04
gokuri
4
いかにもな?タイトルにかかわらず、非常にしっかりした内容の本だった。税の本来の機能である利益の再配分をゆがめしまう「合法的」な仕組みが語られる。富裕層なり、大企業がそうした仕組みを巧みに利用している実態と、その穴をふさごうとする国家の取り組みが分かりやすく解説されている。税と公平性について考えさせられる好著。2015/10/03
TH
3
企業・富裕層は海外に容易に出ていくことができるため、課税の強化は難しいと思う。今後は日本から逃げにくい労働者をターゲットにした税制になっていくんだろうなぁ・・・。2015/09/18