内容説明
〈フィリップ・K・ディック賞受賞作〉失踪した夫を捜してくれないか――元刑事のパレスは知人にそう頼まれる。小惑星が地球に衝突して人類が壊滅する日まであと七十七日。社会が崩壊していくなか、人ひとりを捜し出せる可能性は低い。しかし、パレスは地道に手がかりをたどりはじめる。『地上最後の刑事』に続く第二弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろんこ*勉強のため休止中
174
地球滅亡の日があと77日と迫っていた。すさむ人々、進む秩序の崩壊。主人公はもはや刑事でもなく無職である。そんな中で知人女性に夫の捜索を依頼される。消滅が迫っているにもかかわらず全力をつくす主人公。主人公を動かしているのは、やむにやまれぬ生への希求、何かをやらずにはいられない衝動なのだろう。出会う人々も当然ながらネガティブで生産性もない。前作同様ノワールフィルムのような印象。主人公の熱意、妹に対する愛だけが光を帯びていた。前作よりも薄くなり、駆け足でやや物足りない。地球はどうなるのだろうか?次に期待したい。2014/12/24
紅はこべ
63
前作よりパニック度が上昇。そういえば新井素子の『ひとめあなたに…』ではこれよりパニクっていたが、ガス電気水道のライフラインは正常に機能という御都合主義的な設定だった。それにしてもこの主人公の平静さ、無欲さは何だろう。ちょっと聖人に見えて来る。彼のキャラクターの不可解さがこの三部作の一番の謎だ。三作目で解けるかな?2015/01/26
翔亀
54
終末ハードボイルド三部作の二作目。小惑星衝突まで三か月を切り、経済は破綻し社会は崩壊していく。主人公の刑事も、警察機構が解体したため、"元刑事"となる。にもかかわらず、何故、彼は刑事として生きようとするのか。報酬も見返りもないのに、旧知の女性から依頼された失踪人探しをなぜするのか。世の中は失踪人だらけなのに。真相を解明して、殺人犯を捕まえても(もはや"逮捕"でない)、検事も裁判所もないのに。「(小惑星衝突により)世界がいま直面している危機と凋落の大部分は必然的なものではなく、これまで意味のあったことから↓2017/02/08
momi
50
シリーズ第二弾!小惑星衝突で人類滅亡まであと少し…。暗く世の中は荒れ、人々は自分の「死ぬまでにやりたいことリスト」を好き勝手にやりたい放題。そんな終末観が高まる状況の中「パレス」のもとに1人の女が助けを求めにやってきた!パレスの妹「ニコ」私には世界を救う使命があるという…。妹のことをおもいながら、危険な人探しを始める!元刑事になってしまったパレス、真面目〜!こんな状況の中でもかわらないのね。シリーズ一気読みがいいのだろうけど、気になってつい読んでしまいました(笑)次はいよいよ…人類滅亡は起きるのか!! 2016/03/18
papako
44
Readerにて。シリーズ2冊目。地上最後の刑事ヘンリーは、地球滅亡まであと3ヶ月となっても刑事でした。人を探して、過去を調べ、証拠を探している。この行動は、どんな人たちの行動より現実を逃避している。終末感が強くなった世界で、一人滅亡以外のことを考える彼は、壊れてる。単語が並ぶ思考は、こちらが推測しなくてはいけないので、不安になる。次はラストらしいけど、妹ニコには会えるのか?地球は滅亡するのか?楽しみです!2015/09/14