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内容説明
大好評を得た『近代秀歌』の続篇として,「今後100年読まれ続けて欲しい」,主として戦後の秀歌100首を編む.佐藤佐太郎や近藤芳美から,塚本邦雄,寺山修司,岡井隆,そして俵万智から穂村弘へ.大きな変化を経た時代に,歌人たちは何を感じ,何を試みてきたか?著者ならではの視座から,歌の現在を,そして未来を語る一冊.
目次
目 次
はじめに
第一章 恋・愛──ガサッと落葉すくふやうに
第二章 青春──海を知らぬ少女の前に
第三章 新しい表現を求めて──父よ父よ世界が見えぬ
第四章 家族・友人──ふるさとに母を叱りてゐたりけり
第五章 日常──大根を探しにゆけば
第六章 社会・文化──居合はせし居合はせざりしことつひに
第七章 旅──ひまはりのアンダルシアはとほけれど
第八章 四季・自然──かなしみは明るさゆゑにきたりけり
第九章 孤の思い──秋のみづ素甕にあふれ
第一〇章 病と死──死はそこに抗ひがたく立つゆゑに
おわりに
あとがき
歌索引
一〇〇首にとりあげた歌人一覧
歌集以外の主要な引用・参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
146
奥さんもやはり歌人の河野裕子さん(2010年逝去)で夫婦そろっての歌人です。永田さんが「近代秀歌」(私は未読)に次いで、出されたのがこの本です。和歌は俳句と比べると結構難しい感じがして苦手意識があるのですが、現代のものを見ると比較的身近に感じられます。とくに1章から10章まで、分野を分けて鑑賞させてくれるのがいいと思われました。2016/10/09
榊原 香織
95
俵万智も短歌史中の一人になったかと思うと感慨深い。 ー次々に走り過ぎ行く自動車の運転する人みな前を向く ー奥村晃作 当たり前のことを詠む面白さかな2020/11/26
kinkin
82
『近代秀歌』の姉妹編。現代の秀歌100首。受話器まだてのひらに重かりしころその漆黒は息に曇りき(大辻隆弘)うどん屋の饂飩の文字が混沌の文字になるまでを酔う(高瀬一誌)次々に走り過ぎ行く自動車の運転する人みな前を向く(奥村晃作)大根を探しにゆけば大根は夜の電柱に立てかけてあり(花山多佳子)神田川の潮ひくころは自転車が泥のなかより半身を出す(大島史洋)心情を詠んだものより情景を詠んだもののほうが好きだなあ。図書館本2019/03/17
kaizen@名古屋de朝活読書会
72
#河野裕子 #短歌 逆立ちしておまへがおれを眺めてた たつた一度きりのあの夏のこと たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらって行ってはくれぬか たつぷりと真水を抱きていづもれる昏き器を近江と言へり 子がわれかわれが子なのかわからぬまで子を抱き湯に入り子を抱き眠る #返歌 子を思う親の気持ちの奥深さ優しさまじりの歌をよみつつ2016/06/15
井月 奎(いづき けい)
49
折口信夫は短歌の行く末に明るさを見出せずに「歌の円寂するとき」という文章を書きました。折口信夫という人は歌を鎮魂、招魂のためのものだととらえていたのでしょう。もちろんその一面はあるのでしょうが、人が人に心を寄りそわせるときに、世界の優しさや美しさをそっと差し出すときにも歌は有用なのです。いわば現在の歌です。折口信夫が行っているのは西方浄土からの声、阿弥陀如来の声なのだと思います。彼にこの本を読んでいただきたいと思うのです。日本人がいて日本語がある限り歌が続いていくのだと私は信じています。2022/01/03