内容説明
ガソリンスタンドでバイトをしている野村修司は、アパートの新聞受けに謎のメモがはさまれていることに気付く。それは小学校時代に起きた不幸な出来事を指しているようだった。仲間と拾った子犬を内緒で飼っていた秋葉ビルの『屋上の屋上』から、台風の日に仲間の一人、オッタが転落して亡くなったのだ。バイト先のミステリー好きの店長にメモを見せると、オッタの死に不審を抱き、メモの主を突き止めようと言い出すのだが――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
J7(読メ低浮上中)
38
最近ではよく見るようになったジャンル、若者が故郷の少年時代とその仲間たちを回顧する望郷青春ミステリ。遠い思い出の中に暗い影を落としている一つの事件を巡って、かつての仲間たちとの再会を果たしていき、やがて事件の真相が・・というストーリー。青い表紙絵とアニメ『あの花』みたいなテイストが爽やかなところもあるのだけど、狂言回し的な位置だと思っていた人物が、がっつり物語に絡んでくるところからミステリとして面白くなり一気に読んだ。新人賞の作品らしく、巻末に載っている島田荘司さんの本作についての評が読み応えあり。2018/10/07
ゆにこ
38
舞台となるF市に住んでいるので、これからもこの作家さんには頑張って書き続けて欲しい。タイトルに出てくるわりに犬の扱いが雑。会話でどんどん話が進んでいくので、もう少し丁寧に登場人物達の心理を知りたかった。2015/11/02
ちゃんみー
37
タイトルの『屋上と、犬と、ぼくたちと』の犬の部分に興味を惹かれて読んだんだけど、おーっい犬はどうした?どーなったんだー!という思いのまま終わっちゃいました。導入部分は引き込まれなくて、中盤から面白くなってきて、そして終盤には一気に駆け抜け、まぁこんなもんかっ、という感じでした。目新しいものを欲してやまない読者の興味をそそるような、なんか一本心が欲しかったなぁ。過去と現在をこーゆー形でリンクさせてたところは良かったかな。2014/10/29
九月猫
28
第6回福ミス優秀作。非常に読みやすいテンポの良さ。選評にあるように、それが過ぎるため、説明の不親切さ、描写の不足などは確かにある。でも私にはそれが欠点には思えなかった。小学4年生の時、台風の夜に死んだ同級生。10年経ったいま、その事件を思い出させるメモが当時の仲間たちに届き始める。秘密の基地「屋上の屋上」、淡い初恋、友だちの死、気味の悪い管理人、いなくなった犬。探偵役「店長」の過去が明らかになり、どちら側かわからなくなるところにもどきどき。本当の意味での解決ではなかったかもしれないけど、後味の悪さはない。2014/10/12
み
22
感想を読んで気になった作品、初読みの作家さん。二つの過去の出来事が繋がるんだが、ちと唐突な感じ…。ゴンが虐待されてなかったのかが、今の気掛かりです>_<2014/12/20