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内容説明
なぜ彼だけが「世界のオザワ」となり得たのか。構想十数年、カリスマの秘密を徹底解明。
ラグビーに夢中だった子供時代、無鉄砲な海外武者修行に飛び出した青年時代。カラヤン、バーンスタインといった巨匠からの絶賛。N響との対立という試練。数多の浮沈を経て、音楽界の最高峰・ウィーン国立歌劇場音楽監督に登りつめた世界のマエストロ・小澤征爾。その知られざるエピソードを辿りながら、「説得力という不可解なオーラ」「文法的に正しい正確で論理的な思考法」「動物的な意志」など、指揮者としての成功を生んだ秘密に迫ります。小澤流「逆境を味方にする力」の方法論です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
24
向学心盛んであった父開作(14頁)。アコーディオン演奏征爾10歳にして、長兄克己からピアノを習うことに(21頁)。征爾氏は英才教育でなく、小澤一家、桐朋学園、齋藤秀雄の恩恵を受けた(28頁)。齋藤先生は時間に厳しく、音楽については完全主義(45頁)。ローゼンシュトックの指揮法:明快、歯切れよい、トスカニーニ開祖とする近代指揮法の嫡流(67頁)。オーケストラ指揮:指揮者の音楽メッセージを楽団員に伝達する、 心理的な行為(傍点119頁)。人間、成功、油断、自信を抱いたときが怖い(144 頁)。2015/04/09
牧神の午後
7
才能というのは「チャンスをつかむ握力と、失敗から学ぶ冷静さ」とは杉江さんの名言ですが、特に前者を地で行くような小澤の前半生。1ドルが360円の時代に単身渡欧する、とかいきなりミュンシュに弟子にしてくれ、とか。日本におけるクラシック音楽演奏の時代を作った人間なのだなぁ、と感心する。でも、彼の演奏で感動したことがない、ってのが自分にとっての事実だったりなんかする。同じサイトウキネンを振っていても下野クンの幻想は良かったんですけどねぇ。2015/05/02
Z
5
良書。人生に無駄なことはない。無駄と思えるようなことにもいかにして意義を見出せるか。自分から能動的に求めるチャンスと、求められて与えられる受動的なチャンス。どちらも活かせるかは自分次第。一流のひとと同じ舞台で闘うことでしか身につかないものがある。最初は背伸びしてたって、必死になってくらいついてると、気がついたら板についているものなのかもしれないな。2016/01/14
KAN
4
本書にも出てくる「ボクの音楽武者修行」は20歳のころ、文庫本で読んで以来、小澤征爾の生き様は自分の生き方の中に一つのものを与えてくれた気がしている。マエストロと呼ばれる指揮者というもの自身のその語り口がとてもえらぶらない、率直なものだったからなのかもしれない。 一回も生でマエストロの指揮をみたことがないけど、ずっと憧れだったその姿をこの本でもう一度深くたどることができた、幸せな読書時間だった。2014/11/05
セロ弾き
3
小澤征爾や斎藤秀雄に関する著作からの引用に著者自身の評論を書き加えた本。ときどき自著の宣伝が入り込むし、自分で疑問を投げかけておいて自分で解説する独自研究のようなものや、「~という」などの伝聞の表現も多いがこれは自分の憶測じゃないの?と思ってしまう。文章はひたすら上から目線で、「覇者の法則」というふっかけたタイトルもどうかと思う。小澤征爾は自らの才能と努力で自らの運命を切り開いた人で結果として覇者となったかもしれないが、読んで気分のいい本ではありませんでした。2014/11/25