- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
紺絣に丸笠,手ぬぐい頬かむりの盲目の女性が,門々を巡り歩き三味線伴奏で唄う――関八州・甲信越を中心に活躍した旅芸人,瞽女は,縁起物の門付け唄から人情話や時事ネタの語りものまで,芸能の最新流行を絶えずレパートリーにして渡世を凌いだ.その芸と生業,とりまく社会の姿を掘りおこし,「歌を聴く」文化を考える.
目次
目 次
序 章 門付け唄を聴く
瞽女さが来らいた/瞽女のイメージ/瞽女の分布/ 「こうといな」の節回し/瞽女唄に「正調」はない/唄は商売/瞽女唄の聴き方
第一章 瞽女の時代──宿命から職業芸人へ
説話の中の「盲女」/中世の「盲女」と芸能/近世社会の瞽女/三種の瞽女稼業/瞽女組織の成立/沼津・三島の瞽女仲間/甲府の瞽女組織/高岡城下の瞽女町/長岡の瞽女組織/仲間組織の役割/妙音講/瞽女縁起/瞽女式目
第二章 近世旅芸人と瞽女
近世の芸能/芸能と倹約令/芸能の商品化と瞽女の抵抗/近世経済の裏面と芸能/当道の芸能/越後の大道芸人/説経語り/祭文語り/芝居と花街/読売の世界
第三章 瞽女を支えた社会
吉凶の施行/藩による扶持制度/巡業の規制/旅人の受入れ/取締りの強化/ 「偽者」続出/関東周辺での受容/甲斐と武蔵の村々の賄い代/村費に頼る「福祉」/越後の瞽女宿/瞽女の受入れと信仰
第四章 瞽女は何を歌っていたか──音楽文化の流行と流通
様々な瞽女/音曲師匠としての江戸瞽女/箏曲指南/浄瑠璃と瞽女/様々な三味線唄/唄の地域性/関東の瞽女のレパートリー/越後の「祝くどき」/関東の「蚕くどき」/ 「春駒」/越後瞽女と「万歳」/太夫のセリフ/才蔵のセリフ
第五章 越後の瞽女唄──節回し・三味線・物語
古い瞽女唄と新しい瞽女唄/ 「松坂節」/ 「祭文松坂」の展開/ 「段」の構造/ 「祭文松坂」の旋律/詞章とその形成/生まれ続ける新作/瞽女の「くどき」/人気の高い「くどき」/ 「くどき」の旋律と構造
終 章 終わらない終わり──瞽女が残したもの
芸能の商品化/明治の芸人取締り/瞽女・座頭の禁止令/越後瞽女の組織改革/束の間の隆盛/明治以降の衰退/録音と「自由」の喪失/近世の唄とモダンな唄/唄の盛衰と近代社会/瞽女唄が問うもの
後書き
参考文献
図版・写真出典一覧