内容説明
数多の英雄が彩る三国志の物語。しかし、現実の彼らは魏蜀呉のみで相争う閉じた世界にいたのではない。異民族の存在は三国にいかなる影響を与えたのか。『演義』が語らない、世界史レベルでの三国志を明らかにする!
目次
烏丸・高句麗の章
鮮卑の章
〓(てい)・羌の章
匈奴の章
蛮の章
西南夷の章
山越ほかの章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Die-Go
51
三国志において語られるのは、魏蜀呉の三国の攻防を描いた所謂『演義』ものがはばをきかせているが、本来は周辺に住む先住民達との戦いも欠かすことの出来ない要素の一つである。本書ではメインとなる戦いにはほとんどふれず、漢からみた異民族との戦いや折衝などを正史に基づいて検討考察している。そのため、血沸き肉踊ると言った展開にはならないのだが、その分冷静に三国志の裏側を堪能できると言う面もある。★★★★☆2018/04/12
つみれ
12
日本で「三国志」といえば、『三国志演義』から派生した歴史物語の世界を指すのが一般的で、中原に覇を競う魏呉蜀の動静が注目されがちだ。自然、そこから受ける印象は中国という枠内で完結する閉じた世界観となり、曹操の烏丸討伐、諸葛亮の南蛮平定のくだりからわずかに異文化の匂いが香る程度だ。しかし、実際はどうであったか。中国内外に暮らす各民族は、時に三国に慰撫され、時に三国の領土を侵し、時に三国の尖兵となった。彼らの存在は三国の勢力均衡に多大な影響を与えていたようだ。難解だが斬新な切り口で三国志の世界を再点検する良書。2015/12/13
スプリント
8
三国志にはまった人にはたまらない内容になっています。魏呉蜀同士の争いの影で繰り広げられた異民族との戦いで活躍した人々の列伝が書かれています。三国志演義と某有名シミュレーションゲームの影響で不当に低い評価をされた人々にもスポットライトがあたっており正史を読んだことのない人におすすめです。2015/11/04
カン
3
面白い。異民族に対する三国のスタンスの違いも興味深い。2020/01/16
youpen
3
いわゆる「三国志演義」の視点では殆ど触れられていなかった存在である後漢末~三国時代の異民族がメインテーマ。三国志を知りたい人には特にオススメしたいと思う。とかく三国志の見方が変わり、さらに理解が深まっていきました。2014/06/16