内容説明
霧で視界が遮られる中、邦彦はタクシーで自宅へ戻ろうとする。けれどその運転手は死んだはずの幼馴染で(「どっちだ?」)――「どんな慎ましやかな、地味な生であったとしても物語の宝庫となりうる」というあさのあつこが、新たに試みた意欲作。日常生活の一場面を綴ったエッセイから一転、現実と空想が交錯する物語が展開される、6つの連作短篇集。ファンタジックで哀しく愛おしい作品群は必読!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
チアモン
52
あさのさんの作品は好きで定期的に読んでますが、この小説はその中でもとても面白く読めた。エッセイから短編小説へ・・・。おおっ。凄い。さすがあさのさん。あさのさんの描く日常の描写は本当に素晴らしい。満足満足。2019/07/24
にいにい
32
読友さんが、あさのあつこさんを読んでいるので、本屋で見かけて、久しぶりに手に取ってみた一冊。あさのさんは、昔読んだ記憶では、青春ってイメージ。この日常のエピソードとそこから生み出される物語6篇は、あさのさんのおばさんイメージ全開で、同じ人?と驚いた。日常から刺激的で夢のような短編が飛び出る。「周りの出来事から物語を」と常に想像することは、まさに夢か現か。物語をもう少し堪能したかったという感じは残るけど、創作現場を拝見でき、あさのさんに最接近できる面白い趣向の作品。あさのさんの魅力を再認識できた。2014/02/04
絹恵
24
数年前、新聞への書き下ろし作品『くじら坂で』を読んで、静かで凛とした余韻が残り、改めて読みたいと思っていました。踏み入れたあわいで、もう一度逢いたいと願う思いが生と死を感じさせました。彼岸で見送る者、此岸で見送る者、寄りかからない、留まってはいられない、けれど思いは忘れない強さに触れることが出来ました。(エッセイ+小説)2014/02/19
*蜜柑*
22
ユメかウツツか。日常で起こる些細な出来事は、物語の原石。物語のもととなる著者のエッセイからはじまる、6つの短編集。作家って凄い。日常の無数に転がる出来事を拾いあげ、磨いて、物語に変えてしまうのだから。ひとつの物語が出来上がるまでの工程を、垣間見た気がする。著者の飄々とした語り口が面白く、読み始めると止まらない。物語はショートショートで、今回も色とりどりの品揃え。ホロリとするものから、ゾクリとするものまで、バランスのとれた一冊。生と死が交わる「くじら坂で」「どっちだ?」が特にお気に入り。2014/01/19
A3
21
エッセイと小説を融合させた作品。というより、あさのさんの小説の作り方と言った方が近いかも。ファンなら楽しめそうなんだけど、なにせあさのさんの作品をほとんど読んだことがない状態からこの作品を選んだのはちょっと失敗かも(あさのさんがどういう作品作るのかよくわかってないし。。)2014/08/09
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