岩波新書<br> 生活保護から考える

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岩波新書
生活保護から考える

  • 著者名:稲葉剛
  • 価格 ¥792(本体¥720)
  • 岩波書店(2014/02発売)
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  • ISBN:9784004314592

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内容説明

すでに段階的引き下げが始まっている生活保護制度.生きるための最後の砦であるこの制度がこの秋,大きな岐路を迎えている.不正受給の報道やバッシングのなか,どのような事態が起ころうとしているのか.生々しい当事者の声を紹介するとともに現場の状況を報告,いま,何が問題なのか,その根源を問う.

目次

目  次
   はじめに

 第1章 崩される社会保障の岩盤
   「働いた者がバカを見る制度」なのか/猛暑の夏に起こったこと/夏季加算の新設を求めて/安倍政権による基準の引き下げ/基準部会の検証は活かされたか/小泉政権における老齢加算廃止/なぜ二〇〇八年と二〇一一年を比較するのか/生活扶助相当CPIの算出方法/脅かされるいのちと暮らし/子どもたちの将来に与える影響/排除されるボーダー層/ 「補足性の原理」とは/制度からの排除によって何が起きるのか/ほかの制度への波及/就学援助の縮小と最低賃金への影響/物価上昇政策がもたらすこと/資産要件の厳しさ/医療費を支払うと〓/封印された「ナショナルミニマム」/強行された基準引き下げ
 第2章 届かない叫び声
   切符を渡されて、たらい回しに/厚労省による是正指導/窓口で行なわれる虚偽の説明/ 「水際作戦」の背景にあるもの/不正受給キャンペーンから一二三号通知へ/餓死、路上死の増加/自治体ごとの恣意的な判断基準/ 「ヤミの北九州方式」/裏と表の使いわけをする厚労省/厚労省の通知が生活保護利用者を増やしたのか/生活保護の捕捉率/生活保護制度の認知度が低い/貧困を直視しない政治/相対的貧困率の発表/スティグマを強化させた生活保護バッシング/生活保護の現物給付化案/国連からの勧告/ 「裏システム」の「表」化に動き出した政府
 第3章 家族の限界
   親族間の暴力と支配/ 「私」を、「親密」と「個」に/生活保護を活用して親子を分離する/芸能人親族の生活保護利用/扶養義務を強化する法改正/生活保護と扶養義務との関係/扶養義務が「優先」に/公的扶助と私的扶養の線引きのわかりにくさ/中途半端に終わった民法改正/諸外国では/貧困の世代間連鎖が悪化/生活保護世帯の高校生の声/障がい者の自立生活にも影響/扶養義務強要は家族関係を破壊/DV・虐待の被害者に深刻なダメージ/社会問題を「私的領域」に押し込める/自民党のめざす社会保障ビジョン/ 「日本型福祉社会」の崩壊/家族の支え合いは限界/ 「社会保障と税の一体改革」の変質/ 「絆原理主義」
 第4章 当事者の一歩
   当事者が声をあげられない/親の介護のために離職/初めての路上生活/路上からの生活保護申請/生活保護利用者への就職差別/当事者の支え合いをつくる/福島からの避難者を支援/ 「一人ひとり、その人にあった言葉をかけてもらいたい」/精神疾患で働けなくなり/生活保護を利用している自分を肯定できない/二度目の生活保護申請/当事者の声を政策に/生活保護利用者によるデモ/身体障がい者の当事者として/福祉予算削減の動きに懸念/ロビー活動に参加/数ある制度の一つとして
 第5章 問われる日本社会
   自民党議員による人権制限論/小野市の福祉制度利用者「監視」条例/一九五〇年の生活保護法の抜本的な改正/利用者バッシングと社会保障費抑制/問題だらけの生活保護法改正案/切り縮められた「自立」概念/生活困窮者自立支援法案の問題点/貧困をなくすための総合的政策を/ 「生活保障法」へ/ケースワークの質の確保/世帯単位の緩和/生活保護利用者は「徴兵逃れ」か/石原吉郎の語る「弱者の正義」/基準引き下げに対する不服審査請求
   あとがき
   主要引用・参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

どんぐり

51
保護費の不正受給の防止を柱とする改正生活保護法がこの7月1日に施行された。主な改正点は福祉事務所の調査の権限を広げるほか、不正受給の罰金額の上限を30万円から100万円に引き上げ、家族の扶養義務も強化することで、年々増え続ける生活保護費を抑えるというものだ。この親族の扶養義務が強化されれば、どういう事態が起こるのか。生活保護世帯出身の子どもたちが親から離れ、経済的に独立したとしても、年老いた親が生活保護から抜けられる可能性はあまりない。生活保護家庭出身の子どもは、成人して独立しても「親の扶養義務」から抜け2014/07/29

バトルランナ-

32
否定的な気持ちで読んでやろうと思っていたのに素直に読み終わってしまった。(-_-;)今野晴貴氏の著書の影響も多分にあります。『生保の利用者が自分の生活費の中から電話代を支払ってスマホを利用することの何が悪いのか私にはまったく理解できませんでした』以外は良かった。以下が心に残ったフレーズです!世帯主学歴別生保中卒、高校中退72.6%P19お金を借りた場合は収入と見なすP33ケースワーカー一人当り93世帯→水際作戦P49北九州市の300億円ルール。2014/09/16

たる

25
民法の扶養義務化に代表されるような絆原理主義の怖さを思い知った。東日本大震災の後にしきりに取り上げられる「絆」を材料として、DVや虐待等の社会問題を私的領域に隠してしまう。子ども貧困対策基本法や障害者総合支援法の理念の「社会全体で支える」というフレーズに逆行するものだと感じてしまう。生活保護基準の引き下げ、老齢加算の廃止の根拠をもう一度目にしてほしい。どれだけ悪意に満ちたデータからしぼりだしているかがよくわかる。2016/02/07

aika

24
知らず知らずのうちに、私自身も生活保護に対するスティグマが芽生えていたかもしれないと気づかされました。生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を営むために私たち国民が有している大切な権利です。そして、人間が人間らしく生きるために必要な経済的基盤を支える重要な制度のひとつであるはずなのに、本当に経済苦で困窮している方々がどこか後ろめたい気持ちで生活保護を受給しているのはやはりおかしいと思いました。貧困の連鎖、つまり生まれ育った環境の違いで人生が大きく左右されるなんて絶対に間違っています。考えさせられました。2014/11/08

AICHAN

23
図書館本。近代国家では当然の権利になっている生活保護。日本ではこの言葉はマイナスイメージでしかない。受給者は「社会のクズ」と見られる。マスコミは不正受給に関することしか取り上げない。生活保護を受けるべき貧困世帯も世間のその“目”を恐れて申請を躊躇する。申請したくても役所の“水際作戦”によって撃退される。撃退成功率の高い自治体を厚労省は表彰する。自民党政権は国連の改善勧告を受けてもこの水際作戦を合法化しようとし生活保護費を減らそうとしている。この国で生活保護を受けるのが難しい実態が見事に指摘されている。2016/05/13

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