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内容説明
この20年、将棋界は“羽生善治”という巨星を中心に回ってきました。今、その巨星に劣らない輝きを放っているのがこの男。史上4人目の中学生棋士としてプロデビューし、弱冠20歳で棋界最高位「竜王」に上り詰め、そのまま5連覇して「初代永世竜王」の称号を得た渡辺明さんです。1970年前後生まれの“羽生世代”に、一回り以上年少の渡辺さんが単身渡り合っている、という状況がもう10年ほど続いています。7割近い通算勝率を誇り、唯一、羽生善治と五分の星を残している彼の強さの秘訣はどこにあるのか? 「ゲンは担がない。将棋に運やツキは関係ない。すべて実力」と言い切る渡辺さんが、人間同士が対峙する将棋という勝負の厳しさ、奥深さ、そしてその一見ドライなスタイルの裏に隠し持った勝負を制するために必要な心構えを惜しみなく語り尽くします。
目次
第1章 永世竜王への道のり
第2章 羽生さんという棋士
第3章 羽生世代との戦い
第4章 すべて実力―将棋にツキは関係ない
第5章 読みと見切り―勝負を制する心構え
第6章 コンピュータが将棋を変える?
第7章 プロ棋士として生きる
第8章 永世竜王としての矜持
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
太田青磁
30
2008年竜王戦。羽生を迎え奥州平泉での第3局を落とした後、新幹線のホームでの悄然とした気持ちを一生忘れることはできない。その後4連勝、そして永世竜王の称号を手にした渡辺の勝負に向ける思いがつづられます。すべて実力、ゲンを担ぐのは気休め、勝負にロマンを求めたりしない、リスキーな手を読んでおくことで平常心を保つ、悪手は相手にとがめられて初めて悪手になると怜悧さがキラリと光る反面、勉強は裏切らない、盤上においては先輩も後輩も無いと人間らしさがあふれ出ています。コンピュータやデータに寄せる考え方も現代的です。2015/12/06
Emperor
18
渡辺竜王、棋風とか立ち振舞いがなんとなく好きで、本書を読んでみました。文体から渡辺らしさがにじみ出ていて、その一言一言に将棋界のトップクラスとしての責任感とプライドが感じ取れました。そうそう、まさかの競馬好きっていう(笑)2016/08/09
チャー
14
初代永世竜王を達成した著者が勝負についての思いを綴った本。将棋にツキは関係ないという考え方は、勝負の結果は事前の徹底した準備と研究、日々の学習が勝負を決めるという思いを反映しており、第一線で活躍されている著者の強く高い意識を感じた。強さと段位はある意味その時点では関係なく、プロ同士の戦いの勝ち負けは常に拮抗しており、勝って当たり前と思われることは厳しい側面があるという内情が記されている部分は印象的。負けてこそメンタルが強くなるという点は勝負に向き合い結果を認めて振り返ることの大切さを深く感じた。2022/05/11
Kaz
14
渡辺=竜王。私の中では、彼の将棋は「面白みのない勝つためだけの将棋」。落合ドラゴンズの野球に似ている。本書を読んで、その思いに納得いくことが多かった。2015/12/01
目黒乱
12
羽生さんへの愛を感じられる一冊。2013/12/12