文春文庫<br> 複合大噴火

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文春文庫
複合大噴火

  • 著者名:上前淳一郎
  • 価格 ¥641(本体¥583)
  • 文藝春秋(2013/10発売)
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  • ISBN:9784167248475
  • NDC分類:210.55

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内容説明

1783年の浅間山大噴火は、直後のフランス革命に大きな影響をもたらした――これだけだと「なんのことやら」という話ですが、歴史気候学の見地に立てば、立証が可能になります。日欧でほぼ同時に起こった火山噴火と社会変動の因果関係を探った本書は、発表から20年以上を経た現在でも、まったく古びることがありません。防災の論議が深まりを見せる昨今こそ、広く読まれるべき1冊といえましょう。専門的な話題を興味深く、面白く読ませる著者の腕に脱帽です。

目次

不気味な暖冬―津軽
雨の日々―江戸
ラキ火を噴く―アイスランド
恐怖の山焼け―浅間
青い霧の下の騒擾―津軽
飢えた群れ―浅間・アイスランド
仁政録―白河
人相食む―津軽
殿中の刃傷―江戸
パンの値上がる―パリ
意次VS.定信―江戸
大打ちこわし―大坂・江戸
清き流れに魚住まず―江戸
バスチーユ攻撃―パリ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キャプテン

40
★★★★☆_「きゃぷ衛門とゆく時の旅フェア」【西暦1783年江戸時代─浅間山噴火編】その日、日本全土が恐ろしい爆雷音を聞いたという。音の正体は、──浅間山。噴き上がる火石、村々を蹂躙する火砕流、何もかもを飲み込む溶岩流、全てを浚う大河川氾濫、人間を簡単に地獄に突き落とす大自然のちから。有名な「鬼押し出し」は、この時の大噴火の傷跡にござる。そしてこの噴火は、田沼意次殿と松平定信殿の幕閣の争いに繋がり、まさかのふらんす革命の遠因だったというとんでもなく大きな考察が著者によりなされる。実に独特な書物でござった。2018/01/13

まると

16
1783年に起きた浅間山とアイスランド・ラキ山の噴火が気候変動をもたらし、米や小麦の高騰で日本では田沼意次の失脚、フランスでは革命を誘発したと仮説を展開している。自然科学と歴史を融合させた斬新な論考で、明確に論証はできていないが、説得力は十分にあった。そういえば、フィリピンのピナツボ山が大噴火した2年後の93年は記録的な冷夏で米が大変な不作でした。洋の東西を問わず、民衆暴動の直接原因が主食の高騰だったところが単純明快で面白い。日本で暴動が起きなくなったのは、とりあえず食うに困らなくなったからかもしれない。2021/04/03

臓物ちゃん

10
浅間山大噴火が巡り巡って……フランス革命に!そんな18世紀に起こった地球規模のバタフライ・エフェクトを豊富なデータをもとに読み解いた歴史ドキュメント小説。飢饉は地獄だ!田沼意次失脚とか『風雲児たち』でもとりわけ面白かった歴史的事情の背景などをグローバルな視点で知れるから脳内のマップが広がるぜ。2023/04/25

はるわか

9
1783年、アイスランド・ラキ山噴火、浅間山噴火、北半球の西と東でまれにみる大規模な噴火が複合して始まった。人間たちは飢え、苦しみ、殺しあった。浅間:鳴動、降砂降灰、火砕流、洪水。ラキ:青い霧(硫酸エアゾル)が北半球を覆った。冷夏、大寒波、旱魃、飢饉、餓死、人食、暴動蜂起、流民、失業者。津軽藩、領民の3分の1の死者、東北諸藩は同じ惨状。江戸と関東平野の水没。田沼意次の失脚、松平定信の失敗。日本の庶民数2600万人から2500万人に減少。噴火→アンブレラ現象→熱バランスの変化→偏西風の蛇行→異常気象。2015/10/11

yamakujira

7
1783年、アイスランドのラキ山と日本の浅間山が相次いで噴火した。東西で偶然に重なった噴火が、日本では天明の大飢饉から田沼失脚につながり、欧州ではフランス革命につながった、と考証した挑戦的な作品。浅間山の噴火がフランス革命に影響したと書く紹介文は煽りすぎ、著者はそこまで断定的に言ってない。むしろラキ山噴火に比べると、浅間山噴火の影響は限定的に思えるね。小説と解説文が交互に置かれた構成は、小説でもあり解説書でもあり、著者によれば「エッセイと思ってもらえばありがたい」とのこと。 (★★★☆☆)2015/11/12

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