内容説明
『週刊文春』看板連載エッセイ「本音を申せば」。本書にまとめられているのは2009年掲載分です。政権交代がなされ、新型インフルエンザが世を騒がせ、そして森繁久彌が亡くなったあの年。『グラン・トリノ』『ディア・ドクター』といった話題の映画を語ったと思えば、ときにアイドル論を繰り広げ、大新聞にもビシッと物申す小林さん。決して明るくはない時代、それでも楽しいことを探そう――。その時代を観察し続ける目は、一層輝きを増しています。
目次
冬休みの読書は「結婚のアマチュア」を
とりあえず、五十年
揺れ動く新年
イーストウッド、岸部一徳の目くばせ
ラジオ・デイズ2009
寒い風景
さいきん、気になること
不思議な大河ドラマ「天地人」
梅の花が散るころ
「おくりびと」と、さまざまな映画賞〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えか
36
2009年の週刊文春のコラムを集めた本。タイトルでも、分かる通り、森繁久彌さんが亡くなった年である。おお、何という事だ、森繁さんが亡くなってから、“まだ”13年しか経っていないのだ。驚きである。それ程までに、かのお人は長生きなさったのだ。後年まで(舞台という形が殆どであったが)活躍なされていたのだ。そんな森繁さんとのエピソードの他、自民から民主への政権交代。そして、新型インフルエンザ騒動の話など、現在の状況に通じるようなエピソードが載っている。13年、この国は、全く進歩していないのが良く判った。 2023/10/05
gtn
5
反自民、反東京オリンピック。正しいか否かは別にして、著者の発言はぶれない。2018/08/04
やいとや
5
小林信彦のエッセイは同じ話がよく出るのが、ファンにはたまらない。政治に触れる小林信彦は、スタンスが違うので、重みはあるけどうーむという感じたが、ラジオ評は同感。水谷加奈を褒める文章など書く人がいない。大竹まこと然り。アイドル・女優評は、老人に先越されてるよ、という悔しさと、俺も死ぬまでアイドル好きでいようという目標とが重なる。表題の森繁は、「警察日記」くらいしかまともに見ていないので、見ることに。小林信彦のすごいとこは、映画でも本でも、いいと言ってるものがとにかく見たくなるところ。愛と客観視の同居がいい。2013/07/21
オサム
4
この人が昭和の喜劇人や映画について書いた文章は好きなので、題名に惹かれて図書館で借り出した。失敗。昭和20年8月に中1だったことを思えばやむを得ないのかも知れないが、多くは戦後左翼の典型とも言うべき社会思想と、己れのその考え方が絶対的真実であるとする困った姿勢に基づくエッセイ。 それが嫌でこの人の小説には手を出さないでいるのだが、今回はまともにぶち当たってしまった。何と言っても…民主党政権が誕生した年に戦後左翼が書いた文章ですからね… 2023/07/07
Katsuya Ugai
4
週刊文春連載のエッセイをまとめた一冊。文庫化されたら必ず読んでいる。小林氏のような読みやすい文章が書けるようになりたい。2013/08/19