内容説明
アーサー・C・クラーク賞受賞! いまイギリスで いちばんポップなSF。
特殊能力を持つ獣を連れた人々が暮らす街、ヨハネスブルグで起こった奇妙な事件とは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
89
犯罪者には動物が必ず、一匹は憑き、一つの異能を使えるようになったヨハネスブルグ。しかし、謎の捜査がゆったりなのに対し、終盤で急展開を迎えて終わっていたのには呆然としてしまった。途中で挟まれる動物と引き離されてしまった者の寄る辺なさが伝わる記事とか、グローバル社会における搾取へ手紙などやヨハネスブルグの物騒な玩具箱をひっくり返したかのような様子やパワフルな人々の様子は魅力的なんですが。後、ジンジの彼氏はボコボコにされとるし、ラストも孤独と不安の予感しかないのも辛い。それにしても動物を侮ってはいけないのだ。2019/02/16
sin
69
なぜ?犯罪によって異能と獣が憑くかはわからないが多分結末ありきの設定だからではないだろうか?作者があとがきで「絵空事に現実味を持たせるのは大仕事です。」と述べておられるが…その新たな世界の構築がSFの醍醐味と言えるのだが、どうやらこの世界観は現実の南アに負うところが大きいようだ。それにしては現実世界の悲惨な有様を舞台背景に留めてしまい、その実情をハリウッドまがいのかっこつけのスタイル一辺倒に貶めたところは何とも情けない。呪術的なクライマックスが魅力的だっただけに残念に感じた。2017/07/26
GaGa
41
アイディア先行、それも上手に熟されないまま、強引にストーリーが進んでいき、適度にあやふやな結末へと向かう。割と読むのには時間はかからない。なぜなら読み飛ばしてしまえばいい。そんな作品。訳者あとがきで南アフリカの歴史成り立ちなんかが補足されているが本書を読むための参考にはまるでなりません。2013/07/10
ゆう
18
僕は文系人間なので、SF小説を読むときは小難しい科学理論は無理に理解せずに読み流すようにしているが、この小説はそういうのとは無関係に頭に入って来なかった。翻訳小説でたまにあることだけど、設定や空気感は面白そうだっただけに残念。2021/06/13
S.Mori
12
南アフリカのヨハネスブルクが舞台のSFです。犯罪者は動物と共生関係を結ぶように強いられると言う設定が斬新でした。主人公のジンジはナマケモノと共生しています。このナマケモノが見せるしぐさはプロットはあまり関係ないのですが、可愛かったです。マジックリアリズムの手法を使って描き出されるアフリカの都市の息遣いがダイレクトに伝わってくるのが魅力でした。犯罪者が多く、荒廃しているのですが多民族国家らしい熱気があります。アフリカの音楽が重要な要素になっていて、音楽好きの私には嬉しかったです。2019/10/01