岩波新書<br> 在日外国人 - 法の壁、心の溝

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岩波新書
在日外国人 - 法の壁、心の溝

  • 著者名:田中宏
  • 価格 ¥902(本体¥820)
  • 岩波書店(2014/06発売)
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  • ISBN:9784004314295

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内容説明

半世紀前にアジアからの留学生に出会い、その後、著者は、在日韓国・朝鮮人や留学生、労働者、難民などを取り囲む「壁」を打ち破るために、長年にわたって尽力してきた。
最新のデータとともに、入管法の大幅「改正」のほか、高校の無償化など外国人学校をめぐる問題についても語る。
ロングセラーの最新版。

目次

まえがき──第三版にあたって

 序章 アジア人留学生との出会い
   中国からきたインド人青年/千円札の「伊藤博文」/ 「八・一五」とアジア/奨学金を打ち切られたチュア君/千葉大学に泊まりこんだ三日間/四年半の裁判の日々/医療扶助を受けたため国外退去/チェン君の法務大臣への手紙/ベトナム反戦と入管法案/ 「帰国入隊命令」のでた留学生/二つの中国のはざまで/入管法案が照らし出したもの
 Ⅰ 在日外国人はいま
   外国人登録とは何か/国籍と居住地域/入管法と「在留資格」/在留資格別の人数と国名/ 「特別永住者」の誕生/新規入国の外国人数
 Ⅱ 「帝国臣民」から「外国人」へ
   朝鮮人被爆者、孫振斗さん/二つの課題、「治療」と「在留」/宋斗会さんの訴え/在日朝鮮人と在朝鮮日本人/アメリカの「在日」 認識/憲法から消えた外国人保護条項/参政権の停止/外国人か、日本人か/日本国籍の喪失/なぜ「国籍選択」にならなかったのか/国会での政府の答弁/吉田首相からの手紙/日本自身の課題へ
 Ⅲ 指紋の押捺
   押捺拒否の意味するもの/各地でおこなわれた「指紋裁判」/指紋押捺制度導入の背景/朝鮮戦争のもとで/ 「国民指紋法」の構想/導入後も続く抵抗/中国見本市での「事件」/ 「満洲」指紋の発掘/アメとムチの法改正/恩赦、訪韓、そして廃止へ/指紋押捺制度は、なくなったのか/空港での指紋押捺が復活
 Ⅳ 援護から除かれた戦争犠牲者
   石成基さんの四〇年/軍人恩給の廃止/誰のための援護法か/戦没者の慰霊と叙勲/重要視される「国籍」/ 「日韓請求権協定」がもたらしたもの/ 「外国人」の戦犯/問われる「国籍喪失」/ここにも“心の溝”が/台湾人元日本兵/不甲斐ない判決/野中官房長官の答弁/四一四件に弔慰金/シベリア抑留にも国籍<BR> Ⅴ 差別撤廃への挑戦
   日立就職差別裁判/変わる日本人/裁判の位置づけ/ 「協定永住」と民闘連/南北分断のなかで/金敬得君との出会い/アメリカの事例と日本/外国人司法修習生第一号/外国人弁理士の誕生/公立学校の教員採用/つづく新しい挑戦/定住外国人が地方公務員に/ 「外国人お断り」
 Ⅵ 「黒船」となったインドシナ難民
   国民年金裁判/ベトナム難民の衝撃/公共住宅の開放/国籍要件と国籍条項/難民条約の批准/ 「日本国民」から「日本住民」へ/年金に老後を託せるか/無年金問題/国籍法の改正/認められた「外国姓」/民族の名をとりもどす/帰化時の指紋、ついに廃止
 Ⅶ 国際国家のかけ声のもとで
   留学生一〇万人計画/就学生の急増/日本語学校と上海事件/ 「かわいそうな」留学生/大学への入学資格/門戸を閉ざす国立大学/非欧米系の排除/外国人の子どもたち/外国人学校間の連携/高校の無償化/朝鮮高校は「不指定」に/国際社会からの注視/韓国からの共感<BR> Ⅷ 外国人労働者と日本<BR>    「資格外就労」の増加/法改正と日系人の急増/在外邦人と在日外国人/日本人の海外移住史/日米移民摩擦/フィリピンに渡った人びと/中南米から「満洲」へ/日本のおこなった強制連行/人種差別撤廃を提議/外国人労働者の受け入れ/ 「研修生」とは/外国人労働者の顕在化/技能実習生/実習生をとりまく問題/求められること
 終章 ともに生きる社会へ
    「九一年問題」/新聞にあらわれた“溝”/在日韓国人元政治犯/外国人と地方参政権/諸外国の状況/外国人学校の処遇をめぐって/一方で「反コリアン」デモ/入管法の大改正/つづく“格差”/韓国の対応/憲法のなかの外国人

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Miyoshi Hirotaka

20
外国人問題は朝鮮人問題と読替えられる。朝鮮人は1910年代に急増、最盛期は230万人に達した。大部分が帰国したが、1946年には64万人。半島に国家が成立したことで、朝鮮人は外国人の扱いになった。北が帰還を促進したのに対し、南は帰国を拒否し、実質難民化。その後、インドシナ難民発生に伴い、人道面での施策が進み、アジアからの出稼ぎ常態化に伴い、定住や就業でのガラスの壁は徐々に破られていった。一方、民族主義的で反日思想をもち、反社会的勢力や暴力的極左とつながり、人口に対し犯罪比率の高い集団の扱いに苦慮している。2020/02/15

skunk_c

16
名著。初版、新版も読んだが18年経って出された本版では、「その後」についても取り上げられている。著者自身の体験を経糸にしながら、統計データ、制度や法律、そして様々な事件を織り込んで、在日、特に朝鮮半島から戦前やってきた人たちの置かれた差別的状況の具体と、それに対するたたかいと変化を丹念に示している。その中で際立つのが政府の腰の重さ。縦割り行政の弊害もあろうが、理解ある官僚もいる中、基本的に外国人を「異質なもの」とできるだけ遠ざけようとする姿勢が目立つ。最近の韓国が地方選挙権など改革を進めているのと好対照。2016/08/10

すみけん

12
グローバルだの国際化だのを謳っているわりに、在日外国人の人たちへの配慮が日本はまだまだ足りないことを思い知らされる。地方選挙への参政権もしかり。開かれた、共に生きる社会を構成していかないと、これからの未来は立ち行かない。2017/03/23

Francis

11
初版から版を改めるごとに読んでいる本。初版は在日コリアンの問題に焦点を当てていたが、今回はヴェトナム難民や日系南米出身者などのニューカマーにも相当焦点を当てている。在日外国人の選挙権、高等教育への補助金問題など、以前からこの国の外国人政策はあまり前進していないようだ。国籍が違えども同じ人間なのに。この国も古代から多くの移住を受け入れ、独特の文化を発展させてきたことを忘れてはいけない。人口減少もいよいよ本格化し、国外との交易がなければ経済も成り立たない状況の今、外国人を対等な社会の一員として受け入れるべき。2015/06/07

壱萬弐仟縁

11
日本も多文化共生社会になっているがゆえに、重版して新たな社会問題に切り込む姿勢が理解される。異文化間の衝突は増えているのだろう。異分子への反応が過剰な画一社会像が日本社会の特徴になるのだろうか。ウチとソト。本音と建前。鎖国の歴史。そうした規範からすると、まだ自他の区別にはセンシティヴなのだ。韓・台・中の占有率が大きい(49頁、法務省データ)。昨今、木曽駒ヶ岳で韓国人が遭難死の事故が起きたばかり。学校や地域でも、ハーフとか外国人妻の混住社会は進んでいる印象を受ける。いい意味で両国を繋ぐ人財になってほしいが。2013/08/01

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