岩波新書<br> 加藤周一 - 二十世紀を問う

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岩波新書
加藤周一 - 二十世紀を問う

  • 著者名:海老坂武
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 岩波書店(2013/10発売)
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  • ISBN:9784004314219

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内容説明

言葉を愛した人・加藤周一は,生涯に膨大な書物を読み,書き,そして語り続けた.それはまた,動乱の二十世紀を生きぬきながら,日々の体験を深く考え,問い直し,表現する生でもあった.同時代を生きてきた著者が,我々の未来への歩みを支える力強い杖として,今ひとたび彼の言葉を読み直しつつ,その全体像にせまる.

目次

目  次
   はじめに――加藤周一を読むこと

 第一章 〈観察者〉の誕生
  1 〈お坊ちゃん〉の孤独
  2 本を読む青年
  3 〈いくさ〉の中で

 第二章 戦後の出発
  1 怒りの抒情詩――『1946・文学的考察』より
  2 フランス文学者として――『現代フランス文学論』『文学とは何か』
  3 「IN EGOISTOS」をめぐって――政治と文学
  4 小説『ある晴れた日に』とその謎

 第三章 〈西洋見物〉の土産
  1 芸術を見て、語る――『ある旅行者の思想』『西洋讃美』
  2 文明批評家の誕生――『現代ヨーロッパの精神』<BR>  3 第二の〈全体化〉――『運命』

 第四章 雑種文化論の時代
  1 「日本文化の雑種性」という発見
  2 展開をはじめる思考――「近代日本の文明史的位置」
  3 日本の知識人を問う――「知識人について」「戦争と知識人」

 第五章 一九六〇年代――外からの視線
  1 助走の時代――「親鸞」「日本文学史の方法論への試み」
  2 『三題噺』の位置――「詩仙堂志」「狂雲森春雨」「仲基後語」
  3 『羊の歌』をどう読むか
  4 一九六八年を問う――『言葉と戦車』

 第六章 〈日本的なもの〉とは何か――〈精神の開国〉への問い
  1 『日本文学史序説』を読む
  2 日本美術史への試み――『日本 その心とかたち』
  3 体系化へ向かって――『日本文化における時間と空間』

 第七章 希望の灯をともす
  1 「政治に近寄るべからず」――六〇年代まで
  2 二十世紀の語り部として――核、九条、アメリカ
  3 持続する志
   あとがき
   加藤周一略年譜

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬弐仟縁

20
日本史Aの拙授業を担当していた時にご逝去されたことを思い出した。<戦争文化>という集団主義、大勢順応主義に反応した加藤氏(ⅱ頁)。わたくしも集団原理の頭高、そして、上官の命令は絶対だ、方式に馴染めなかった。だから消防は嫌いだった。彼には、戦争に<行かなかった>体験がある(30頁)。頭の悪い帝国主義者の愚劣な戦争、負け戦で死ぬことほど合理主義には耐えがたいのだ(31頁)。専制政治、封建制、天皇制への怒り(37頁~)。戦後日本の民主主義を雑種文化のうちに見出した(111頁)。単一民族観の中曽根康弘元首相に差。2014/01/20

Gatsby

14
加藤周一へのリスペクトを持ちながら、彼の著作についてかなり細かな部分に対して批判的な読み方もしているが、「はじめに」において、加藤氏の仕事を簡潔にまとめ、そこに十分なリスペクトが表れているので、その後の本篇が非常に読みやすい。著者は『羊の歌』『続 羊の歌』に対する思い入れが強く、自身の読み方までを詳しく説明している。さらに、『日本文学史序説』については特に評価が高い。これらの作品は高校時代に親父が買ってくれて、私自身わからないなりに何度も読んだ思い入れの強いものである。再読しようという気持ちが強くなった。2013/06/14

のり

10
加藤(1919~2008)はリベラルで知られる府立一中から一高・帝大へ。戦時下の青年期は原書主義の横溢な外国文学の摂取と古典への親近に過ごす。芸術の小宇宙が精神と知性の砦となったと海老坂はまとめるが、芸術と戦争の対置については星菫派批判(『1946』)に関する文学と行動ないし抵抗の問題、知識人の責任問題と合わせて慎重に考えたい。日本における戦中戦後の民主主義の不徹底さに疑問をもった加藤が、日本文化の特質=〈雑種性〉を鍵語に、大衆の層から〈われわれの政治〉を構築しようとしたことは今なお参照点となりえそうだ。2020/06/02

呼戯人

7
加藤周一が日本の羅針盤だったとき、日本はまだ安定していた。今のように極右が政権について、不安定な力の政治を展開する時に加藤周一が生きていたならば何を言っただろうか。これほど非専門家の専門家として、活躍した知識人は他に類例を見ない。20歳の頃、こんな風になりたいけど、絶対無理だなと思った。今の日本にこれほど必要とされる知識人は他にいないだろう。憲法集会で演説してもらいたかった。2015/06/17

Ikkoku-Kan Is Forever..!!

5
こういう入門書は、まずはじめに何も知らずに読む。そして、『著作集』に一通り目を通した後で再読すると、ゴチャゴチャした頭の整理になる。ありがとう、海老坂さん。2014/12/24

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