内容説明
「セックスなんてビフテキたべるのと同じよ」――インテリアデザイナーの桐子は、大学助教授で翻訳家の省吾と不倫関係にある。桐子は偶然、省吾の妻でフラワーアーティストの秋子を見知るが、秋子も夫に隠れて若い愛人との逢瀬を重ねていた……。ほかにも桐子の姪の美波、作家の卵など、複数の男女が絡み合って織りなす愛の形を、万華鏡のように描き出す名作、待望の復刊! 巻末に著者・瀬戸内寂聴による「自作解説」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
92
今から50年程前に書かれた作品ということですが、全く古さを感じませんでした。複数の登場人物が絡み合って描き出される愛の形の物語ですが、ドロドロした感じはなく、性愛にストレートで、そこが逆に清々しかったです。愛すること、愛されることを求める登場人物たちが愛しくてたまりませんでした。どんなに永遠の愛を誓っても何処かで壊れてしまうのが心に刺さります。最後に失われていく愛は世の無情のようにも感じました。万華鏡のような性が輝く官能が美しかったです。2016/03/28
Shoji
44
不倫という愛の形を紡いだ恋愛物語です。驚くべきは、昭和43年に書かれた物語だそうだ。なんと半世紀以上も昔である。今読んでも十分に面白いです。男と女が愛し愛され、性愛に情熱を傾ける様が書かれていますが、露骨な性描写や不倫に付き物の「ドロ沼」の場面もなく、読みやすいです。楽しく読了しました。2020/02/25
えりまき
23
2021(299)寂聴さんの訃報を知り、手に取りました。僧侶の印象が強く、失礼ながら小説家とは知りませんでした。生々しくリアルで面白い。秋子が夫・省吾の浮気に対して愛人の桐子に、「私はね、こういうことにはもう神経が死んでしまってるんです。いえ、殺されてしまっているといった方がいいのかしら。」という言葉が印象的。浮気されたら浮気返し、ヤキモチ妬いたらヤキモチ妬かせる。登場人物が少しづつ繋がっていて、緊張しました。 2021/11/28
バーベナ
4
会話のテンポも良くて軽快で面白かった。性に奔放ではちきれそうに若い美波が、くるくると愉しませてくれる。2017/10/04
ともちゅん
3
長いです。テンポはいいのですが、登場人物の誰にも少しも共感できなかった。2014/05/31