内容説明
じいさんが死んだ夏のある日、孫の良嗣(よしつぐ)は、初めて家族のルーツに興味を持った。出入り自由の寄り合い所帯、親戚もいなければ、墓の在り処もわからない。一体うちってなんなんだ? この際、祖父母が出会ったという満州へ行ってみようか──。かくして、ばあさんとひきこもりの叔父さんを連れた珍道中が始まる。満州、そして新宿。熱く胸に迫る、小さな中華料理屋「翡翠飯店」三代記。伊藤整文学賞受賞作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゴンゾウ@新潮部
122
偉人でも英雄でもない普通の家族の物語。決して裕福でもない家族の歴史に唯々引き込まれてしまった。確かに自分も祖父母の歩み、父母の青春時代家族の歴史を知らない。でも日々の暮らしの積み重ねがあったからこそ自分は生を受け生きている。その時々に色んなことを家族が乗り越えて未来につなげていく。決して語り継がれることはないがそこには確かな家族の歩みがある。自分はひとりではないと改めて思う。感動しました。2016/12/24
ケイ
112
角田さんによる昭和史だな。満洲に渡った人々がここの中心だ。何があっても、フライパンを動かしてくれる人がいるお家はいいな。また中華を食べたくなった。2023/06/05
koba
103
★★☆☆☆2014/01/21
ユザキ部長
101
自分があずかり知らぬ所で、誰か偉い人が 重要な何かを決定してるだけ。つまり大局の流れに流されているだけなのかも知れない違和感ばかりつのる。戦争から満州の地から逃げて逃げて逃げて、生き延びてきた。実は幻でしかなかったかも知れないが、そんな事はない。結果もがき苦しみ後悔ばかりだ。逃げる事がえらかったのかどうか良くわからない。けど多分逃げる事って、つまりは受け入れる事。有難いって事なのではなかろうか。2018/08/13
エドワード
99
私にはおばが二人いる。一人は私の生前に自殺した。一人はヤクザなおじの娘を育てるため未婚の継母となった。私はこの真実を、なんと25歳で結婚するまで知らなかった。両親があえて話さなかったのだ。どこの家族もたたけば必ずホコリが立つ。藤代家も久美の家もおかしくない。普通の家族だ。角田光代さんは初めて戦後の三世代の人生を描いて新境地を開いたと思う。でもやはりこれは「空中庭園」「八日目の蝉」に続く家族の物語。「逃げちゃだめだ!」とは碇シンジのセリフだが、死んだらお終いだ。逃げて、逃げて、生き延びろ。幸福のために。2013/04/24




