内容説明
物語を書くことにしか情熱が持てないわたしが四十歳間近で願ったこと。それは、〈二親を無事に見送ること〉と〈小説家になりたい〉という二つ。なんだかんだあったけど、神様は、わたしの願いを聞いてくれた。でも、ただで叶えてくれたわけではない――。誰もが経験する肉親との別れを、ペーソスあふれる平節で綴った、笑って泣ける超私小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
55
母親を看取るまでの時間を描いたエッセイでした。とは言え、重さはなく、時折笑ってしまいます。ただ、思ったのは人には人の生きる時間があるということ。生死は自分で決められるものではないのですね。いつか自分にも来る時間だと思うと少し切なくなりました。2020/07/23
たくのみ
12
認知症になってしまった母親。介護をしながら小説家はこんな風に作品にしてしまうのか。「本能のマグマが、原始脳を覆っていた理性を吹き飛ばした」母親がとる行動と、振り回される家族たち。「種から芽生える花のように」あふれ出る思い出。年齢を重ねるとは、こういうことなのだ。2015/03/27
ゆずぽん
11
平さんの介護エッセイなのかな。リアルな感情がそこかしこにあって、同じ状況にある私はそうそう、あるあると思いながら涙せずにはいられなかった。両親を「お疲れ様でした、また会いましょうね」と見送ってあげられればいいなと思った読後でした。2015/07/14
mami
5
「私小説」の括りだそうですが、実際に起こった体験をつらつらと書き綴っただけのような...。でも最後の「介護した人は介護されずに死ねる」って言葉は多いに響きました。親の介護に17年を費やした私、誰の手も煩わせることなく逝きたいです。2015/03/01
あさり
4
小説?親の最期に関わりながら、親の人生、自分の生き方を考える。もっと早く気付いてたらと思うけど、その時にならないとわからないことなんだとも思う。まだまだ元気だけど、年齢的には考える我が母を思い読んだ。今のうちにたくさん話をしておこう、と思った。2015/11/16