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内容説明
狐憑きなどの怪現象が頻発した明治時代。哲学者の井上圓了は、それらに合理的な道筋をつけることが哲学普及につながると奔走。哲学館を開学して「妖怪学」の講義を行い、膨大な怪異談を収集した。初の評伝!
※本作品は紙版の書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
130
妖怪学の研究家で哲学者ということはかなり昔から知っていました。小学生の頃に近くの哲学堂公園というところに何度も遊びにというよりも何か怖いもの見たさに行っていたものです。その井上の生涯を今までほとんど知らなかったこの人物を描いてくれます。いまの東洋大学の基礎を気づいたということも知っていましたが結構波乱万丈の生涯を送ったようですね。柳田國男はあまり評価しなかったようですが。2016/09/17
スプリント
7
妖怪博士として有名な井上圓了氏。妖怪に対するスタンスが柳田國男氏と異なることが書かれています。小泉八雲との交流についても書かれています。2017/12/17
エヌ氏の部屋でノックの音が・・・
7
図書館本。 「つまりは妖怪を恐れたりしないことが、みずからものを考えるいとなみとしての哲学の第一歩ではないか。」ちょっと『学問のすすめ』が入っています。 哲学館には老若男女が詰め掛けたそうですから、この時代には凄いことだと思います。(実業科目中心で、まだ女に学問なぞ不要と思われていた時代でしょ。) 円了先生の視察出張中は清沢満之が代講していた!なるほど清沢満之と円了が繋がっていれば『歎異抄』を大衆化したことにもうなずける。2016/09/04
krnkn-fa
4
郷土が生んだ偉人。人材教育を重視した旧長岡藩の気風も受け継いでいるか。時代が変わり、それまでの価値観もがらがらと崩れたであろうときに、颯爽と登場したヒーローみたい。実際に、全国各地で市民から親しまれていたみたいだし、行動力もすごい。京極小説の主人公と重ね合わせた箇所に納得。「この世に不思議なことなどなにもない」ー。井上円了にも言われてみたい。2013/07/18
かえる
4
子供の頃から哲学堂公園で遊び、不思議な名前のついた建物や庭園に親しんできた。 井桁の上に円を乗せた墓石も何度となく見ていた。 円了先生は私たちには馴染みの人物だったが、本当の姿はよく知らなかったので、読んでみた。 妖怪博士などと呼ばれているが、実際は逆で、妖怪と言う名の迷信からなる無知に、真理の光を当てようとした理性の人だった。 柳田國男からは糞味噌言われてたのね(笑)2013/05/21