内容説明
坂の町・麻布──昼もなお暗き暗闇坂で大八車が暴走し、若い娘が亡くなった。やがて、麻布七不思議・お化け椿の下に怪しい影があらわれて……。坂の上の富豪たちを坂の下の貧しき者が見上げた時、悲しき怨嗟が凶悪犯罪を呼び寄せる! 事件の鍵を握るのは降霊術の女か? 江戸版「天国と地獄」! 勘定組頭時代の根岸肥前が消えた年貢の謎を解く「宮仕え」を新収録。殺人事件シリーズ第8弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タツ フカガワ
51
「成功者は坂の上に住み、落ちた者は坂の下に住む」という坂の町麻布は、花びらの色が変るお化け椿や幽霊が出る暗闇坂など妖かしの噂が絶えないところ。そこで起きた大八車の暴走で死んだ娘の事故をきっかけに、南町奉行根岸肥前守が闇に埋もれた悪事を明らかにする。冒頭の言葉とは対照的に、足腰の鍛錬のため日々坂を歩く老人がふと呟く「人生は坂道。夢を見ながら上り、人の世を見ながら下る」が妙に心に残りました。2024/09/01
Hugo Grove
17
いい男(女)なのに薄幸な人っているよね。芋洗坂に暗闇坂、仙台坂今でも残ってるよね。この時代は闇深い田舎だったんだろうな。2018/01/27
Syo
16
これも いいねぇ2025/04/23
Hugo Grove
14
再読2018/11/23
たち
11
今では、おしゃれな店が並び、ビルの林立する麻布界隈ですが、江戸時代は狐狸妖怪の跋扈する坂の街だったのでしょうね。当時の人が今の麻布を見たら椿の花の色が変わるよりびっくりするだろうな~。2016/04/25