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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とうゆ
10
共産党の一党独裁である中国では、政治機構は単純な構造なのかと色眼鏡で見ていたが、実際のそれはかなり複雑なものだった。それだけ独裁というのは維持するのが難しいのだろう。その苦労して作り上げてきた独裁により中国の経済は自由化され、低賃金を武器に世界の工場となり、発展してきた。しかし現在、経済発展がもたらした教育の普及や物質的豊かさにより、人々の民主化要求などの政治参加意欲が高まり、独裁が揺らいできている。今後中国の政治はどのような方向に進むのか、隣国として注視しなければならない。2014/08/17
壱萬弐仟縁
10
司法腐敗(84頁)。弁護士の腕は、裁判官とのコネ、だと。これでは、公平中立な判決は下せるわけがない。エリート(官僚、経営者、知識人)の特権と腐敗(102頁~)。開発コストは、弱者に大きく負担させる開発独裁の歪み(105頁)。ごみだらけで、埋立地は既に飽和状態とも(117頁)。グローバルな越境汚染とは酷い。2013/08/08
メルセ・ひすい
4
韓国 シンガポールのような民主化軟着陸できるか ロシア ユーゴスラビアのように硬着陸して政治社会が長期停滞するか。巨大国家中国の場合市民社会からの仕掛けが起きるかどうかはあまり期待ができない? 政治的矛盾と社会的対立が膨大であり切れの良い予想はほとんど書かれていない。日本に在住していても言動により身の安全は?一党支配のもとで急速な経済成長を続ける中国。その政治体制はどのようなもので、改革開放路線によりどんな変化が生じているのか。現在の中国を「開発独裁」として捉え、その政治構造や変動の力学を丹念に分析する。2012/12/06
Haruka Fukuhara
3
非常に情報量が多い。いい本だと思う。あとがきに著者のこれまでの勉強遍歴のようなものが書かれていて興味深かった。日本の自由のことは日本人以上に不自由な国から来た人の方がよくわかっているのかもしれない。2017/03/29
むとうさん
3
中国も新体制になったわけで。著者は中国生まれ→日本に留学&日本在住ということで、「昔と比べればよくなったんだよねぇ」というスタンスな印象。結局はどんな状況もそれ相応の理由があるわけで、現状の中国に対して「民主化しない中国がイカン」とか「中国人民は抑圧されて可哀そう」という議論では始まらないということ。中国経済が破綻するとかもっと伸びるとかいろんな議論はあるけれど、政治との関わりも無視できない。多民族が自治区を持っていたり、農村と都市部が同じ国とは思えない状況では「民主化」は難しそうである。2013/03/18