内容説明
小学校の夏休み、父の実家の蔵からは、夜になると宴会の声が聞こえた。しかしその晩、大人たちは早く寝たという。翌日の夜、楽しそうな声に誘われて蔵の扉を開けたところ…。蔵にまつわる恐ろしくも哀しい話(「蔵の中」)。自宅で娘の遺書を発見した妻が倒れた。暖かい部屋にいるのに、恐ろしいほど体温が下がっている。そして妻の口から驚きの言葉が…(「白い息」)。恐怖と感動が絶妙にブレンドされた、怪談シリーズ第2弾!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
緋莢
12
夏休み。父の実家で過ごしていた私は、夜になると楽しそうな宴会の声を聞いた。だが、翌日聞いてみると、大人たちは皆、宴会などせず、早く寝たという。次の夜も聞こえてきたので、その声の方に向かってみると、そこには蔵があった。私の話を信じなかった母と共に、蔵の扉を開けてみると・・・表題作他、全15編が収録された怪談シリーズ第2弾。2014/07/14
クナコ
8
初読。「新耳袋」編者が同シリーズに入れられなかった話の数々。因果の深い話が多々あるなかに、やはり実話怪談らしいオチのわからないもやっとした終わり方の話も混じっている。やはり表題作に一番力が入っている構成だが、抱き合わせの作品もなかなか印象深い。「凶宅」「四人目」「ゲネ」「白い息」なんかは少し膨らませれば奇談系の短編小説として発表できる気がする。2021/09/15
みくろ
6
新耳袋や九十九怪談とはまた一味違う隣之怪シリーズ。同シリーズの木守りに比べて今作の方が怖かったような気がします。特に「女子寮」「団地」は怖かった…。「女子寮」のようなお話は普段ならそこまで怖いと感じないのですがこの話に限っては何だかゾっとしてしまいました。正体が分からないものや不思議なお話が多い中、見えるし来るしでそういう意味でも異質な気がします。一方で「百円」や「あれとって」は感動できますね。やはりこの隣之怪シリーズは一人称視点というのもあるのか、他の怪談集に比べ個人的には恐怖が倍増する気がします。2012/06/02
tamiase
5
15編からなるホラー短編集。前作と違い、ただ怖いだけでなく、心が温かくなるような話も織り込まれた今作。特に印象的だったのが、『あれとって』と『白い息』。家族の絆を強く感じた。2022/06/17
屋根裏の散歩者
4
怪談師匠から下賜された本。新耳袋シリーズの著者と同じなんだけど、こちらは百物語形式ではなく、短編がいくつか載ってるという形式。百物語形式の方は、一話一話がかなり短くてあまり突っ込んだ描写とかはないんだけれど、この本は話数が少なく、一話にある程度のページを割いているので、けっこう詳細に語られてて面白かった。他の方もレビューでおっしゃってるように「女子寮」がかなりコワかった…てか、この話に出てくる、アパートの廊下をフラフラしている女の「ひーーぃぃぃ」って声が、字面だけでは実際どんな声なのか想像もつかないwww2013/08/11