内容説明
暴力団はなぜ殺し合うのか
2011年8月の島田紳助の芸能界引退や、同年10月の「暴力団排除条例」の施行をきっかけに、暴力団への関心はかつてないほど高まっています。
2012年に入っても、指定暴力団のうち、特に凶悪とされる組織を「特定抗争指定暴力団」、「特定危険指定暴力団」に指定するなどの暴対法改正案が通常国会に提出されるなど、依然、国民の関心を引くニュースが続いています。
本書は、ベストセラーにもなった『暴力団』の著者・溝口敦氏が、広島代理戦争や、大阪戦争、山一抗争など、ヤクザの歴史を語る上で欠かせない数々の抗争を、その背景となった事件から、当事者・関係者へのインタビューまで詳細かつ多角的に綴ったものです。
40年超に渡り暴力団を取材し続けてきた著者でなければ書くことのできなかった内容です。
【構成】
「第一部 暴力団の戦後史」
山口組を中心とした戦後の抗争史を体系的にまとめたもの
(大阪戦争、山一抗争、宅見事件など)
「第二部 実録ヤクザ外伝」
地方で起きた一つ一つの抗争を丹念に掘り起こし、その抗争がその後の暴力団や社会へ与えた影響を考察するもの
(広島抗争、沖縄抗争、名古屋抗争など)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
26
図書館本:暴力団と堂々と名乗れる日本という国も不思議と言えば不思議。最近は有名大学御出身の方も多いそうな。山口組の田岡組長が芸能界と通じていたという事も一部書かれているが、映画「ゴッドファーザー」でもそんなシーンがあったことを思い出した。興行の世界とはどうしてもつながりが出るようだ。2014/10/15
うめうめ
7
面白かったです。特に広島抗争(仁義なき戦い)と山口組と一和会の抗争(激動の1750日)は映画とオーバーラップしてしまいました!★★★☆2012/03/05
しげ
5
北は北海道から南は沖縄まで、暴力団の抗争を記録したノンフィクション。新書だったので手に取りやすかったです。筆文字で「実録!」と殴り書きしてあるような表紙のコンビニ本は、気になってもちょっと手に取りづらいので…。沖縄抗争の際立ったむごたらしさが印象に残りました。自分の死体を埋めるための穴を自分で掘らされるなんて、ゾッとします。抗争は西に行けば行くほど激しさを増す、と言われているのだそうです。日本社会にはこんな一角もあるのか…。2013/01/27
海
3
最近私の読む本には、よく「自分が埋められるための穴を自分で掘らされる」というシーンがでてくるんだけど、これにも出てきたwホテルのティールームや愛人のマンションで突然銃撃を受けるとか、お墓参りに行ったら作業員風の男に突然撃たれるとか、もう家に引きこもってるしかないじゃないですか…と思ってたら家のトイレにダイナマイト投げ込まれるとかもあって、いやー、暴力団って本当に怖いですね、と淀川さん風に思ってしまった。2013/02/19
nizimasu
2
かつて作者の溝口さんは暴力団の最大の特徴は抗争にあるといった。そんな彼らの戦後の抗争の主要なものを解説しつつ、暴力団の暴力性を描いていく。しかし、かれらも暴力団新法でがんじがらめになっているという。そんな人たちがどうなっていくか。溝口氏の舌鋒は厳しい2012/10/06